新自由主義(市場原理主義)がもたらす社会は・・・

ニューヨーク



経済用語でよく耳にする「新自由主義」という言葉。いまひとつイメージが湧きません。自由主義に新がつくってことは自由主義とは明確に違うということなのでしょう。

新自由主義を語るにはまず自由主義とはなんたるかを知らねばなりません。



自由主義とは・・・


自由主義国家、それを一言で表せば夜警国家です。最低限の秩序を守ったうえであとは市場にすべてお任せ。

政府はまさに危ない夜の警備だけやるといったイメージなのです。

ところが自由主義はやがて行き詰ります。世界恐慌の発生です。

自由主義の限界


世界恐慌で世界が不況(デフレ)に陥っても自由主義の下では政府は手も足も出しません。

世の中が暗くなっていくのをタダ傍観するだけ・・・。

そんなことをいつまでも大衆が許すわけがありません。そこに救世主が現れたのです。

ケインズ経済学の登場と台頭


かの有名なケインズです。ケインズ経済学では不況は需要の不足であると考えます。

そして、需要を作り出すのは民間ではなく政府なのです。ニュー・ディール政策の登場です。

ケインズ経済学はデフレ退治が目的。大規模な公共事業を大きな政府で支えていくといったイメージです。

ケインズ経済学もまた壁に


1970年代、世界はインフレに苦しむことになります。その要因はさまざまな説があります。

石油ショック、強くなりすぎた労働者、財政支出の過ぎたる拡大、金本位制の終焉などさまざまな要因が複合的に絡まっていると考えられます。

そこでやり玉に挙げられたのがケインズ経済学。振り子は再び自由主義へと振れていったのであります。

新自由主義なるものが登場


自由主義からケインズ経済学へそして再び自由主義へ・・・。それが「新自由主義」なのです。

夜警国家とまではいかないまでも、政府を小さくし、市場原理に任せるという意味ではほぼ同義です。

新自由主義がもたらす世界


「新自由主義」という言葉。いささかわかりにくい。わかりやすい表現はやはり「市場原理主義」です。

市場は常に正しく、市場に任せておけばいずれ全てうまくいくという考え方(妄想)です。

評論家の中野剛志さんが書かれた『奇跡の経済教室(戦略編)』に新自由主義がもたらすであろう社会がイメージしやすく書かれていましたので引用させていただきます。

なお、本の中では「新自由主義」と表現されている箇所を勝手に「市場原理主義」に置き換えていますのでご了承ください。なにぶんそのほうが理解しやすいからです。

引用(一部変更あり)


・・・例えば、市場原理主義は、自由市場において、企業が徹底した合理化を追求することを理想とします。

しかし、それは雇用を不安定にし、従業員の間の持続的な人間関係を破壊するおそれがあります。・・・

・・・市場原理主義は、規制の少ない労働市場を通じた労働者の移動が、経済を効率化すると信じています。

しかし、労働者の移動が流動的になってしまうと、地域共同体の絆は弱まってしまうでしょう。・・・

・・・市場原理主義は、何が何でも財政赤字を削減しようとします。しかし、デフレ下での財政赤字の削減は失業を増やし、格差を拡大させます。それは、国民を富裕層と貧困層に分断し、対立させる。その結果、社会秩序は、不安定になるでしょう。・・・


市場原理主義による身の回りの変化


人にもよるでしょうが、多かれ少なかれ思い当たる節があるのではないでしょうか。

私の経験からしても、昭和のなごりが残っていた平成初期は職場の人間関係は今よりもウェットで深いものがありました。

それが、平成が進むにつれドライ化し、浅薄なものとなりました。職場だけの関係が多くなり、プライベートでの付き合いはどんどん少なくなったという実感があります。

また、やむを得ない転勤や仕送りのため、地元を離れることになり、地域との人間関係が断絶してしまうようなことも体験してきました。

今でこそ、団塊世代の大量リタイアにより人手不足と化していますが、今の30代、40代の人は就職氷河期を体験したはずです。

そして、その中から多くの人が非正規での雇用を余儀なくされ、正規雇用者との所得格差が拡大したのはもはや言うまでもないでしょう。

普通に考えて、市場に任せておけば全てうまく行くなどというのはほとんど妄想でしょう。そこには一定の規制や秩序は働いていなければなりません。

今また、自由主義からケインズ的経済政策への転換期がやってきているものと確信するのであります。

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