Jリート需給逼迫で価格高騰。将来の高成長でしか説明つかず・・・

総強気。そんな言葉が今のJリート市場にはぴったりです。
日経新聞には「REIT「全員買い」警戒」などという見出しも・・・。
■ 東証リート指数の上昇
もっとも全員が買いを入れて売りが無いのなら値が付かないはずですが、実際には値は確実についている。
上がったところを利食っている人は確実にいるのです。売っているのは本業不振で有価証券売却益を計上したい銀行が主であろうと推測されます。
それにしても上昇ピッチが早いのは確か。2019年だけで東証リート指数は25%以上の上昇です。

株価が停滞し、債券の利回りが取れない中、投資マネーはJリートに一極集中しているかのようです。
そもそもJリートは銘柄が増えたとはいえ、60銘柄ちょっと。時価総額も20兆円前後であり、とても巨額の投資資金を受け入れられるキャパシティはありません。
そこに大量の資金が流入しているのですから、必然的に値が上がるという構図なのです。株価は結局のところ需給関係で決まる、そしてその需給が非常にタイトになっているわけです。
■ Jリートへの資金集中要因
さて、なぜJリートに投資資金が集中しているのでしょうか。
要因は複数あります。
・海外債券の利回り急低下
世界経済の減速傾向から海外債券の利回りが急低下しています。マイナス金利は日本の専売特許かと思っていたのにもはや、ヨーロッパでも主要国の10年もの国債のマイナス金利が常態化しています。

来年の米大統領選を控えて、景気をなんとか維持したいトランプ大統領のFRBに対するプレッシャーもすごい。
世界的に金利は当面上がることはなさそうです。世界が日本化(デフレ化して資金需要がない)しているのです。
債券の魅力が薄れた、これがJリートの相対的な魅力を高めています。
・株式市場の将来への不安
米中貿易戦争の影響が不安視され、世界はその成り行きを固唾を飲んで見守っています。
当然、リスクオフの姿勢を保たざるを得ず、株はなかなか買いづらい。消去法的にJリートに資金が流れ込むという構図です。
それを正当化するのは不動産市況が堅調を保っていること。都心のオフィスビルの空室率は過去最低水準を保ち、賃料も上昇基調です。
Jリートに対する見方として、「強気」が圧倒的であり、今のJリートの価格は将来の不動産価格の上昇と賃料の上昇を織り込んでいますが、実際に将来そうなるかは不透明です。
いまこそ「ブリッシュ・コンセンサス」の考え方に立ち戻るべきでしょう。
「買ってはいけない」、そんな本があったかと思いますが、今のJリートはまさに「買ってはいけない」というのが個人的な見解です。
【関連記事】
ブリッシュ・コンセンサスによる投資家心理の分析
NAV倍率と分配金利回りから考えるJリート市場の天井
Jリート市場に割高感が漂ってきた
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