マンションが売れない、でも価格は上がる。まるでスタグフレーション

マンションが売れません。2019年4月~9月期の契約戸数は前年同期比で15%も減少しています。
新築マンションの契約率も64%と低調で、11年ぶりの落ち込みようです。
消費増税前の駆け込み需要もありません。もっとも、今回の消費増税では、過去の苦い経験から住宅取得に関する手厚い減税策が盛り込まれており、急いで買う必要もなく、むしろ待ったほうが得という見方もあります。
昨今のマンションの売れ行き鈍化は消費増税とは直接関係がないようです。
マンション価格の不思議な現象
売れなければ値が下がる。
これが市場原理だと思いますが、さにあらず。売れないのに、マンションの価格は上昇し、高止まりしています。少々古いデータですが、マンションの価格は2013年あたりから急激に上昇し、いまだ高止まりしています。

現在、首都圏のマンションの平均価格は1991年の価格を上回ってきています。まるで、マンション市場にスタグフレーションが起こっているかのようです。
スタグフレーションとは・・・
景気後退局面にありながらもモノ不足によりインフレ状態になり、物価が上がり続ける状態のことをいいます。原因として、石油や食料などの供給不足が考えられます。
景気後退局面にありながらもモノ不足によりインフレ状態になり、物価が上がり続ける状態のことをいいます。原因として、石油や食料などの供給不足が考えられます。
さて、このマンション価格の怪。いったい何が原因なのでしょうか。
人手不足が深刻に
来年(2020年)の東京オリンピック開催に向け、さまざまな競技施設やインフラ整備が進められています。
東京オリンピックの開催が決まったのが2013年。ただでさえ、団塊世代の大量リタイアで人手不足となっているところに大きな需要が舞い込み、建設業界のみならず、多くの業種で人手不足が深刻化しています。
人手不足は至極当然に人件費高騰に直結します。そして高騰した人件費がマンションの価格に転嫁されて、マンションの価格が高騰しています。
用地の確保が困難に
東京オリンピック特需でホテルの建設も増加しました。ホテル用地とマンション用地の分捕りあいで土地の取得が難しくなり、また価格も高騰しています。
土地価格の高騰がマンションの値段に跳ね返っているというわけです。
資材価格の高騰
東日本大震災の復興需要に、東京オリンピックの需要が重なり、建築資材の価格が上昇しています。
また、好調なオフィス需要も建設資材の高騰に拍車をかけています。
アベノミクスによる円安も輸入物価の上昇につながるため、輸入する資材や建築機材を動かす燃料費の高騰もマンション価格の上昇要因となっています。
そして売れないのに高く・・・
上記の複合要因が重なりあい、マンションは売れないのに価格が上がるというおかしな現象が起こっています。
首都圏では年収の11倍の金額でないとマンションが買えない状況です。一般的に年収の5倍くらいが無理のない購入範囲といわれていますから、もはや首都圏のマンションはサラリーマンにとって高嶺の花になってしまいました。
まさに今、マンション市場にスタグフレーションが起こっています。
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