イデコ(個人型確定拠出年金)、制度改正でより身近に!

ひまわり



老後資金2,000万円不足問題が引き金になったかはわかりませんが、イデコ(個人型確定拠出年金、個人型DCともいう。)への加入者が増加傾向にあります。

しかし、現行のイデコは使い勝手が今ひとつであることから、その普及が拡大していかないという課題もあります。イデコを運営している厚生労働省は、イデコの一段の普及に向け、制度の改正を検討しているようです。



イデコの現状


確定拠出年金には2つの種類あります。

1つは掛け金を企業が負担する、企業型DC。こちらの加入者は約700万人に達し、普及が進んでいます。

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(出所:厚生労働省)

そして、もう1つがイデコ

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(出所:厚生労働省)

こちらは掛け金を個人で負担するのが特徴です。企業型DCと同じく、税制メリットが大きく、ここ最近、加入する人が増えています。

これは、2017年から公務員や主婦もイデコを利用できることになり、そのすそ野が大きく広がったからです。しかし、それでもまだまだ約120万人。制度改正が進めばまだまだ大きな伸びしろがあることは間違いありません。

イデコと企業型DCの併用が可能に


イデコのさらなる普及をさまたげる要因の一つは企業型DCとの併用が困難であることです。

勤務先に企業型DCがあると、個人ではイデコに加入できない場合がほとんどなのです。

企業型DCとイデコの併用を認めるには労使でその旨の規約を設ける必要がありますが、そのような規約を定めている企業はほとんどありません。そのため、企業型DC加入者700万人のうち、イデコに加入している人はわずか4,000人程度にとどまっています。

今後の制度改正案では、併用の際の規約を不要とすることが検討されています。そうすれば、企業型DCに加入しつつ、イデコにも加入するという人が増加するはずです。

イデコ加入年齢の見直しも


現状では、イデコは20歳から60歳までの人しか加入できません。しかし、少子高齢化にともない、60歳を過ぎても働く人の割合は確実に増えています。

2000年代前半では60歳から64歳までの人が働く割合は50%ほどでしたが、2018年には70%近くまで上昇しています。

このような社会情勢の変化を受け、イデコの加入年齢の引き上げが検討されています。具体的には65歳まで加入できるようにする案が有力です。

投資信託のコスト削減も追い風に


また、イデコで運用する投資信託の信託報酬が下落傾向にあることも追い風でしょう。イデコに限りませんが、投資信託の信託報酬は近年大きく下がってきています。

ここ10年で1割以上は下がっているようであり、その分は、イデコの加入者に還元されることになります。コスト負担が少なくなることは資産運用の面で大きなプラスとなります。

中小企業にもイデコ普及が進む


中小企業では企業年金がないところも少なくありません。そのような企業には「イデコプラス」という制度が役に立ちそうです。

イデコの掛け金を拠出できるのは個人だけですが、イデコプラスでは掛け金の一部を企業が負担することが可能です。企業は拠出金を損金にできますので、税制上のメリットがあります。

企業型DCですと、導入企業が手数料を払ったり、従業員の投資教育を行ったりしなければならず、中小企業には大きな負担となりますが、イデコプラスを使えば、そんな負担はありません。

イデコプラスも制度改正で使い勝手向上へ


企業型DCでは部長、課長などといった役職ごとに企業は掛け金を変更することができますが、イデコプラスでは従業員一律の金額となっています。

これでは、使い勝手が悪いということで、企業型DC同様、社員の役職等に応じ、柔軟な掛け金設定ができるよう見直しされる予定です。

また、イデコプラスを使える会社をより多くする改正もなされる見通しです。現在は、従業員100人以下の企業に限定されているところを300人以下にする案が有力のようです。

イデコ加入の注意点とまとめ


良いことづくめのようなイデコですが、忘れてはならないのはコスト負担です。イデコで毎月掛け金を積み立てる際には手数料が最低でも月167円かかります。

昨今のような超低金利で、元本確保型の定期預金などで運用すると利息よりも手数料のほうが高くなってしまいます。

節税メリットがそれを上回ればまだ良いのですが、そもそも所得税を納めていない主婦などは節税とはなりませんので、損をしてしまいます。

制度が複雑で理解することが難しいですが、ちょっとがんばって勉強すれば、資産を大きく増やすことができるかもしれません。検討の価値は十分にあると思います。

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