株価は堅調なのに上場企業の希望退職・早期退職募集が増加中

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米中貿易戦争の影響なのか、消費増税後の景気後退を予想した先回りなのか・・・。2019年1月~9月期における上場企業の希望退職・早期退職者の募集が増加しています。



希望退職・早期退職の実施状況


実施社数は27社で募集人数は合計で1万人以上。

安倍政権前の水準に戻ってきました。人手不足といわれて久しいのになぜ?と疑問に思うのは私だけではないでしょう。まるで、安倍政権後に再び景気が悪くなるのを予想しているかのようです。

参考までに以下は2000年以降の早期退職の募集状況の推移です。

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早期退職に応じた人数が最も多いのは富士通の2,850名。その他、目立つところは東芝の800名超、ルネサスエレクトロニクスの約1,500名、ジャパンディスプレイの約1,200名など。

それにしても業績が好調なキリンホールディングスなどでも募集をしており、いったいどうなっているのでしょうか。業績が良くて体力があるうちに固定費を減らそうってことなのかもしれません。

今後の成長が見込めないのか、若返りを図りたいのか、そもそも人手が余っていたのか、そのあたりは個社ごとにそれぞれの事情や思惑があるのでしょう。

さまざまな要因について考えてみたいと思います。

成長鈍化・業績悪化の影響


経済全体としては不況とまではいかないまでも、IT社会の進展により産業構造が大きく、そして著しいスピードで変化しています。グローバリズムによって、ヒト・モノ・カネが容易に国境を飛び越えていく世界。

企業は少しでも安い人件費を求めて国を彷徨います。

また、ITやAIの進化で単純作業はどんどん機械化され、人間が不要になっていく分野もあります。一方で、人間でしかできない産業では人手不足が深刻化するという二極化が進んでいます。

新たな時代の流れに適応できない、あるいは海外の会社に負けてしまった企業は業績が悪化して、やむなく早期退職を募集したのだと思います。

若返りを目的とする動き


バブル時代(1980年代後半から1990年前半くらいまで)に大量採用されたバブル世代がいよいよ50歳代に突入してきました。

人の数ほどポストもなく、また人件費が高い。企業にとっては大きな負担となっています。

また企業の年代別の年齢構成もいびつな形になりました。バブル世代が多いのに、その後の世代が少なく逆三角形のような年齢構成となっている企業が多いのでしょう。

年齢構成の歪みを修正するため、体力のあるうちに早期退職制度を導入する企業が増えていると推測します。

定年延長義務化を見据えた動き


現状では60歳定年制の会社が多いとは思いますが、年金支給年齢が65歳となることもあり、65歳定年制を採る会社も増えてきました。

今後はさらに年金支給年齢が上がることも想定されますし、ひょっとしたら70歳定年制が義務化されでもしたら・・・。企業にとってはある種恐怖でしょう。

そんなたくさんの人抱えられないし、高齢になれば生産性が落ちるのは残念ながら明らかです。言葉は悪いですが、今のうちに間引きをしていこうという考えも出てくると思います。

安倍首相退陣後の経済運営不安視も


安倍政権発足以降、曲がりなりにも企業業績は好転し、株価も堅調でした。日銀の異次元金融緩和による要因がほとんどだと思いますが、アベノミクスにも一定の効果(主に心理面だと思いますが)があったことは事実です。

さて、安倍政権後は?

目ぼしい人材が見当たらない・・・。現状でも財務省に騙されて緊縮財政まっしぐらなのに、さらに洗脳は加速して、経済縮小のデフレ政策が採用されていくことは容易に想像できます。

安倍首相ですら、財務省と対峙するとやられてしまうのですから、他の人ではひとたまりもないでしょう。

それを読み取った企業は数年後の再デフレ化による業績悪化を見据え、社員を今のうちに絞り込んでおこうという考えているのかもしれません。そして、早期退職制度を活用したのだと思います。

まとめ


それにしても、日本もすっかりグローバリズムの波に乗せられて、終身雇用はすっかりなりを潜めてしまいました。

雇用の安定こそが消費の拡大をもたらし、経済を成長させていくものなのに、雇用不安があっては安心して消費もできません。消費増税をした政府の罪は重い。そして、年金不安を煽り立て人々を貯蓄へと駆り立てる。

皆がお金を使わなかったら景気など良くなろうはずもなく、政府すらも財政政策をさぼる、さぼる。安倍首相の任期はあと2年ほど。その後が本当に心配です。

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