高度なIT人材確保のために希望退職・早期退職募集が増加

昨日、上場企業の早期退職がにわかに増加しつつあることを書きました。とりわけ目立つのは富士通などのIT企業です。
その要因として、日本と海外のIT人材の給与格差が広がっていることが背景であることがわかってきました。
高度なITスキルを持った人材の確保に躍起
世界的にAIの進展など、ITがめまぐるしいスピードで進化しており、ITに長けた人材は引く手あまたです。
ところで、日本は良い意味でも悪い意味でも横並び社会です。同じ会社であれば、給与も社員間でそんなに極端な差はないのが今までの常識でした。今でも多くの会社はそうでしょう。
しかし、IT産業はグローバルな競争にさらされています。安い給料では海外の企業に優秀なIT人材が引き抜かれてしまうのです。
なんとか若くて優秀なIT人材を引き留め、また採用するしていくには海外企業に負けない高い給与がどうしても必要なのです。
NTTグループはせっかく多くのIT人材を育てても、35歳までに3割もの社員がGAFAなどに代表される新興IT企業に引き抜かれるとのことです。これではせっかく社員を大事に育てても虚しくなるばかりです。
しかし、IT技術者の給与はアメリカでは30代でも年収1~2千万以上は当たり前なのに日本ではその半分程度というのが実態なのですから、転職するなというほうが無理というものでしょう。
対抗するには日本の企業も給料を同じようにアップするしかありません。
米中貿易戦争の槍玉に挙げられて、今苦しいはずの中国のファーウェイですら、新卒に40万円払うというのですから驚きです。
給与アップ、その原資をどこに求める?
2,850人もの早期退職者を出した富士通は、その舌の根も乾かぬうちに高度な技術を持つ社員には年種数千万円もの報酬を出すことを計画しているとのことです。
早期退職大量募集の目的は、早期退職者の給与を原資とし、高い給料を払って、若くて優秀な人材を引き留め、または採用するためだったと思わざるを得ないでしょう。
早期退職者の給与と引き換えに優秀な人材を確保する資金を獲得したのです。
欧米の格差社会が日本にも否応なしにその影響を及ぼしてきているようです。とりわけグローバルに展開する企業はその傾向が顕著に現れてきています。
そして、日本でもますます格差社会が進展していくのだろうと思います。
ああ、無情・・・。
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