株高の演出要因は何か?そして日経平均は25,000円を目指すのか・・・

本日は若干下げたとはいえ、消費増税なんのそのという感で日経平均株価が堅調です。24,000円台をうかがおうかという勢い。25,000円説などを唱える強気な論者も現れてきました。
このままバブル崩壊後の高値を超え、25,000円を目指すのか。(個人的には懐疑的です。)そもそもなぜ今、株が上がっているのか諸説諸々考えてみました。
(1)教科書的な循環理論説
株は景気と金利の影響を色濃く受けるというのが、教科書的(昭和的ともいう。)考え方です。
具体的には・・・
・業績相場(業績向上による株価上昇期)↑
・逆金融相場(金利上昇による株価下落期)↓
・逆業績相場(業績悪化による株価下落期)↓
・金融相場(金利下落による株価上昇期)↑
・逆金融相場(金利上昇による株価下落期)↓
・逆業績相場(業績悪化による株価下落期)↓
・金融相場(金利下落による株価上昇期)↑
このサイクルがグルグルと繰り返されるという考えかたです。いささか古いというか、今の時代にあてはまっていないというか・・・。
あまりにも金利が低い期間が長すぎて、もはや今どこにいるのかすらよくわかりませんが、あえていえば、逆業績相場でしょうか。(無理やりです。)
上場企業の2020年3月期の純利益は前期比で4%減となる予想であり、2期連続の減益となる見込みです。
とすれば株価は下がるはずですが、金利が低い(無い)ので金融相場とごちゃまぜになり、金融相場的色彩が勝ち、株価が上昇しているという説です。
いささか無理がありそうです。
(2)ミニバブル説
バブルは60年ごとに繰り返されるといいます。そして、30年ごとにミニバブルが発生するという説です。
なぜ60年あるいは30年なのか?
人間は結局のところ、他人の失敗からは学びません。自分で痛手を被って実体験しないと知識だけで終わってしまいます。
バブルに踊らされ、破滅していった人々も60年経てばほぼこの世からいなくなり、現世に与える影響はほぼなくなります。また、30年経てば、生きていたとしてもリタイアして老人となり、影響力は小さくなっていきます。
最もお金を動かす権力を持つのは一般的には50歳代から60歳代の人でしょう。その人たちがバブルで痛手を被って、30年経つと80歳代から90歳代になります。
亡くなる人も多いでしょうし、社会的影響力も徐々に小さくなります。そして、自ら痛手を被ったことのない新たな世代がバブルに踊るのです。
日本株のバブルの頂点は1989年12月。まさに30周年記念が近づきつつあります。そして、ミニバブルが発生しているという説なのです。
しかし、バブル崩壊後もすぐに立ち直ったわけではなく、むしろ失われた30年といわれるほどのデフレが継続しているため、この説もいささか無理があるような気がします。
(3)アメリカ株との相関説
堅調なのは日本株だけではありません。むしろアメリカ株が絶好調です。ダウ平均は27,000ドルを超えて史上最高値を更新中です。
ところで、日本の株式市場を動かしているのはもはや日本人ではないといってもいいでしょう。
そして、日本株とアメリカ株の相関は2000年以降あたりから異様に高まっています。グローバルに投資資金が行き来して、世界の株式市場が鎖のようにつながっています。
(関連記事)もはや日本の株価を決めるのは日本人ではない?!
単にアメリカ株の上昇に引っ張られる形で日本株も上昇しているという説です。
個人的にはこの説が一番有力であり、もっとも多くの要因を占めていると思います。
(4)日銀ETF買い説
消費増税の悪影響を排除するため、日銀が少しでも株高を演出して、資産効果を出そうとしている可能性もあります。
また、異次元金融緩和による国債の買いオペで、もはや市場で買える国債が枯渇していく中、社債やETFの買いにより、少しでもデフレマインドを和らげ、インフレ期待を高めたいという動機が日銀にはあると思います。
そして、日銀がETFを買い込んでいるために株が上がっているという説です。
しかし、日銀はあえて買い上がっていく必要もなく、下げを食い止めるという役割を演じたいでしょうから、この説も少々無理がありそうです。
(5)株主利益至上主義まっしぐら説
日本企業はデフレに突入してから、ほとんど売上げを伸ばしていません。
にもかかわらず、株主への配当は上げる、自社株買いをして自己資本を減らしROEを向上させる、役員報酬はアップして、社員の給与はダウンする、といったアメリカ型経営を取り入れてきました。
(関連記事)擬似バフェット指標(2019年10月末)。利益配分の構造変化
そのため、会社が利益を上げても、その恩恵を被るのは株主ばかり・・・。それが今まさにアメリカの周回遅れで、日本でも起こっているという説です。
この要素は少なからずあると思います。短期的な株価上昇要因ではなく、もっと長期的な要素だろうと思いますが・・・。
(6)単なる買戻し説
米中貿易戦争、イギリスのEU離脱問題のこじれなど世界は不安定になっており、株価についても慎重な見方が多く見られました。
当然、下げを見込んだ売りも多く入っていただろうと思います。
ところが、ここへ来て、米中が少々雪解けモード。株価も上昇してきたので、あわてて買い戻しをかけて、株価が必要以上に上昇しているという説です。
この要素は少なからずあると思います。
(7)消費増税の特殊要因説
過去2回の消費増税時の株価推移を振り返るといずれも増税後に株価は上昇に転じています。
(関連記事)過去の消費増税前後の株価の動向は・・・
今回の増税はポイント還元やらさまざまな手厚いフォローもあり、前回ほどの駆け込み需要もなく、極端な消費の減退は見られないようです。
消費増税の影響を心配していったん現金化していたマネーが再び株式市場へ戻ってきたという説です。
これははっきりいってよくわかりません。
まとめ
今の株高要因は「(3)アメリカ株との相関説」でほぼ説明できると思います。それに他の要因が複合的に絡み合っているといったところでしょうか。
とにかく来年、アメリカ大統領選を控えていることが大きなポイントです。トランプ大統領が再選するにはなんとしても景気を持ちこたえさせ、株高を維持する必要があるのです。
そう考えると突発事象が無い限り、来年の秋くらいまで、株式市場は大きく崩れることはないと考えるのが普通でしょう。
しかし、日経平均24,000円以上はいささか割高というのが個人的考えです。
そこで、楽天ETF-ダブルインバース(1459)を若干仕込みました。これ以上上がれば追撃買いです。しかし、長いスパンで持つ商品ではないので、1か月以内の短期勝負。さてどうなることやら・・・。

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