地方銀行だけじゃない、メガバンクだって苦しいのだ!

バブル崩壊の痛手が中途半端だっただけに、中途半端なリストラで済んだ地方銀行がここに来て、マイナス金利の影響で苦しみ抜いているのはご承知のとおりです。
都市銀行は、30年前にバブルに乗っかりすぎて泡を吹いて苦しみ、再編に次ぐ再編でリストラが大いに進んだ分、今は地方銀行ほどの塗炭の苦しみを味わっていないようにも見えます。
とはいえ同じ銀行業務。マイナス金利の影響を受けないはずもなく・・・。程度の差ことあれ、その苦しみが広がりつつあるのです。
大手銀行グループの業況
大手銀行5グループ(三菱UFJ・三井住友・みずほ・三井住友トラスト・りそな)の2019年上半期の連結純利益は、前年同期比11%減となりました。
それにしても金額にすれば1兆5,125億円。相当の純利益を計上しています。
とはいえ、今後、日銀がマイナス金利をさらに深堀りしていくような事態になれば、各行とも数百億円規模の減益要因になりそうです。さらに時代の急速な変化が襲ってきています。
来店客減少にともなう店舗再編成
インターネットやスマホでの取引が浸透し、店舗への来店客はこの10年で3割から4割も減少しています。もはや立派な店舗は金食い虫と化しています。
そのため、各行とも店舗再編という名のもとに廃店を進めています。
三菱UFJ銀行は180店舗ほどを削減する予定、みずほは130店舗ほどを統廃合でまとめていく方針です。
ATMのコスト削減
いまやセブン銀行などのコンビニATMがあらゆる場所に設置されています。そのうえ、キャッシュレス社会が進展しているのですから、わざわざ銀行のATMを使って現金を引き出そうって人は減る一方でしょう。
三井住友と三菱UFJは店舗外ATMを相互に無料で解放する方針です。店舗削減とともにATMも削減されていくのは当然の流れでしょう。
リテール部門の不振
地銀のみならず、メガバンクも個人、中小企業向けのリテール部門の不振が目立ちます。
三菱UFJは前年同期比で6%減(純利益1,379億円)、三井住友は9%減(純利益1,112億円)、みずほにいたってはたったの8億円です(前期は赤字)。
不振の原因は言うまでもなくマイナス金利。利ざやの縮小が進んでいます。貸出金利-預金金利は前期比で0.03%減少。
いまやネット銀行とも競争しなければならないため、利益はほとんど出ないといってもいいでしょう。
なにしろ相手は店舗や人員が少なく、コストが少なくて済むからです。そんな相手と消耗戦を繰り返していたら、業績はいつまで経っても好転しないでしょう。
海外へ活路を見出せるか
メガバンクの強みはその国際性でしょう。地方銀行やネット銀行では国際的な業務といってもたかが知れています。
それではメガバンクの海外事業はどのような状況なのでしょうか。
成長が期待されている海外事業ですが、いまは環境が悪い。なにしろ米中貿易戦争で世界的な景気後退が懸念されており、世界的にも金利が低下。日本同様、利ざやが縮小しています。
上記のような袋小路の中、GAFAのような新興IT企業が銀行の旧来業務を脅かすサービスを提供してきています。
メガバンクも地方銀行ほどではないにせよ、徐々に真綿で首を絞められつつあります。
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