売る人あれば買う人あり。Jリート、一本調子では下がらない

最近急に下がり出したJリートですが、まるで下げを待っていたかのような押し目買いが入ってきて下げ止まりの気配をみせています。いったい誰が何のために買っているのでしょうか・・・。
押し目買いの主役は?
個人的に、このところの売りは金融機関の利益確定売りだと思っていましたが、外国人投資家の利益確定売りではないかという見方が大勢のようです。
むしろ、この押し目を買いにきているのが国内の銀行や信用金庫などの金融機関です。
今年に入って、上げピッチが早すぎたので手を出しづらかったところですが、ここに来て買いの手を入れやすくなったということでしょう。
なにしろ金融機関は現状、貸出が伸びず、かといって利回りの取れる債券もありません。いったい集まった預金をどう運用したらいいのか・・・。彷徨い続ける金融機関の資金の数少ない受け皿としてJリートは貴重な存在となっています。
Jリート押し目買いの根拠
押し目買いの根拠となっているのは現状の不動産市況の好調さです。
2019年10月、都心のオフィスビルの空室率は過去最低水準を記録しています。また、その賃料も昨年の同時期に比べ7%ほど高くなっているのですから、今後のJリートの分配金が増額されるのではないかという期待も出てきています。
今後のJリート投資の懸念事項
懸念されるのはJリートの価格が堅調であるがゆえに、来年にかけてJリートの増資が増えるのではないかという懸念です。
なにしろ、リートの投資口価格を1口あたりの純資産で割ったNAV倍率は平均して1.2倍を超えています。
投資口価格が割高なので、同じ口数を増資しても集まる資金は大きくなります。増資をして資金調達を行うには格好のタイミングなのです。
同じ会社の株でも発行株数が同じであれば、株価500円のときに増資するより、1,000円のときに増資したほうがより一層大きな資金調達ができるのと同じです。
しかし、問題は増資した資金で魅力的な不動産を買うことができるかどうかという点に尽きます。
これは株式にも当てはまるでしょう。資金調達をしても魅力ある投資を行って、ROE(自己資本利益率)を上げなければ、増資したことによって既存の株主はむしろ損失を被ってしまいます。いわゆる希薄化の問題です。
そして今、不動産市況は活況なので割安な物件は少なくなっており、大きな利回りを期待することはできません。
増資をするには絶好のチャンスなのですが、投資する物件がないというジレンマに陥っていると考えられます。
投資家同様、Jリートの運用を行う運用会社も無理な増資を行わない安全運転が求められていると思います。
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