ややっこしいが、投資家には有利な外国税額控除が始まる

ひまわり



2020年から国内の公募株式投資信託等の分配金の外国税額控除が始まります。

なんのこっちゃ状態ですが、投資家にとっては有利になる仕組みです。しかし、その仕組みを理解するのは難しい・・・。

簡単にまとめてみました。



二重課税による税金の二重負担の問題


外国へ投資している投資信託の資産に対し、現地の外国でなんらかの税金がかかっている場合、投資家へ分配金を支払う普通分配金に日本国内の税金がかかると、二重課税となってしまいます。そして、2019年までは二重に課税されていたわけです。

外国株式や外国リートに投資する投資信託は、概ね、年率0.1%~0.9%程度の外国税を負担しているようです。

それではあんまりだということで、外国で課税された金額については国内では課税いたしませんっていうのがその考え方の骨子となります。

対象となる可能性のある投資信託は1,000本以上ともいわれています。

外国税額控除の具体的な考え方


普通分配金を支払うごと、源泉徴収所得税額から外国税額が控除されます。

元本の払戻とみなされる元本払戻金(特別分配金)は控除の対象となりません。NISAで保有している投資信託も対象外です。もともと税金がかかっていないからです。

しかし、計算の仕方がややっこしい。まあ、大事な税金の話なので、仕方ないといえば仕方ないのですが・・・。上記の骨子を簡単に図示したのが以下です。

20191123image1.jpg

さて、耳慣れない言葉が出てきます。「グロスアップ」。外国で取られた税金を普通分配金に足すことをグロスアップといいます。

グロスアップするのは、外国税の課税がなかったとしたら本来いくらの分配金が支払われていたものかを算定し、その分配金に対して、外国税と国内の所得税の税負担が合計で 15.315%となるように調整しようという考え方によるものです。

外国税額控除は国税のみが対象であり、地方税から外国税額を控除することはできません。

さて控除できる金額ですが、下記の2つの金額のうち、いずれか小さい額を控除できます。

① 外国税額

② (普通分配金+外国税額)× 15.315% × 外貨建資産割合

なぜ、①のみで考えないのかといえば、ファンドの資産のうち、どの程度が外貨建の資産に投資されているかを考慮するということです。

いったい外国税額控除がなされているのか、されているならいくらなのかは、特定口座年間取引報告書や支払通知書で確認できます。

さて、地方税はどうなる?


国税については控除されるので有利になるのですが、問題となるのは地方税です。

地方税については控除がなく、また、普通分配金にグロスアップされた金額に5%をかけた金額が課税されるので、かえって税額が増えます。

それでも国税と地方税を相殺すれば投資家にとって不利になることはありません。制度上の不備といえば不備なのです・・・。

いずれ修正されるものと思いますが、いまのところはそういうものだと理解するしかなさそうです。

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