MMTの提唱者来日第二弾。ビル・ミッチェル教授

2019年7月、MMT(現代貨幣理論)の提唱者の一人であるニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授が来日したことは記憶に新しいところです。
また、10月には日本で翻訳された本も出版されているランダル・レイ教授が来日予定でしたが、残念ながら延期となってしまいました。ご家族の健康上の都合ということですからやむを得ません。
ケルトン教授来日の残念!
ところで、ケルトン教授の来日には味噌がつきました。
ケルトン教授は、コテコテの社会民主主義者で前回、民主党から大統領選にも出たバーニー・サンダース氏の経済顧問を務めるなど、左派リベラル寄りです。
ところが、ケルトン教授を日本へ招聘したのは、一部を除き、ほぼ右寄りの保守系の人たちでした。
ケルトン教授はアメリカで左派の人たちに責められ、日本の主たるMMT提唱者とは断絶状態に陥ってしまったのです。
MMTは右も左もない単なる経済理論なのですが、政争の具とされてしまったようで、非常に残念でなりません。
この辺りの詳細は下記をご覧ください。
【関連記事】
MMNの圧力によるMMT(現代貨幣理論)の迷走と混乱
MMTの命名者、ビル・ミッチェル教授来日
今11月、MMTの主たる提唱者の一人である、オーストラリアのニューカッスル大学経済学部のビル・ミッチェル教授が来日してくださり、講演を行いました。
ビル・ミッチェル教授は、ランダル・レイ教授らとMMTを提唱するとともにその命名者でもあります。ケルトン教授にも大きな影響を与えています。
11月20日付日経新聞に、インタビュー記事が掲載されていたのでそのポイントをまとめてみました。
・MMTが無節操な赤字を容認しているという批判は誤解で一定のルールを設けている。例えば、歳出の伸びに生産能力の拡大が追いつかず、インフレが発生しているような状況は容認できない。
・日本はハイパーインフレどころか、インフレの兆しすらない。支出を伸ばす余地がたくさんある。
・各国で中央銀行による金融政策が限界を迎えており、財政政策を動員するほかない。
・財政を評価する際には公的債務のGDP比率といった指標だけではなく、政策が国民にとって重要なものを提供できているかを見ることが大切である。
・MMTの観点では公的債務は非政府部門の富ともいえる。
・日本はハイパーインフレどころか、インフレの兆しすらない。支出を伸ばす余地がたくさんある。
・各国で中央銀行による金融政策が限界を迎えており、財政政策を動員するほかない。
・財政を評価する際には公的債務のGDP比率といった指標だけではなく、政策が国民にとって重要なものを提供できているかを見ることが大切である。
・MMTの観点では公的債務は非政府部門の富ともいえる。
主張している内容はケルトン教授などと同じで特に新鮮味はありません。同じ理論を説明しているのですから当たり前といえば当たり前です。
主流派経済学からパラダイムシフトを!
消費増税の悪影響が少しずつ染み出てきており、今後、景気が悪化する可能性は十分にあります。
主流派経済学に染まりきっている人がMMTを異端視する気持ちもわからないではありませんが、金融政策(リフレ政策)は残念ながら、インフレ目標を達成できませんでした。
アベノミクスで財政政策は拡大されているかのようなイメージですが、実は縮小しています。
財政政策によらねば、日本はデフレから脱却することは不可能だと思います。
心配事・・・
別に勘ぐるわけではないのですが、ランダル・レイ教授の来日延期に、何か政治的な圧力が加わっているのではないかと心配になります。
ケルトン教授の前例があるものですから気にならないといえば嘘になります。いつか来日してくれることを信じております。
【関連記事】
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MMT(現代貨幣理論)とは?その信憑性は・・・

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