2019年の少子化ペースが尋常じゃない。いったい何が?

厚生労働省が2019年11月26日に発表した人口動態統計(速報)によれば、今年1月から9月に生まれた子どもの数が前年同期比に比べ、5.6%も減少しているといいます。(ちなみに67万3,800人)
ただでさえ、少子化が進んでいるのに、そこからさらに6%近くも減少してしまうなんて・・・。いったいどうしたっていうのでしょうか。
少子化の現状
2018年の出生数は91万8千人でした。今年、このペースが続けば、2019年の出生数は87万から88万人ほどになりそうです。これはなんと1899年に統計を取り始めてから最小というから驚きです。
ちなみに以下は1872年から2018年までの出生率と死亡率の推移です。

(出所:社会実情データ図録)
戦後の出生率の下降が著しく、総人口も2005年あたりから減少に転じています。
少子化の要因(人口要因)
出生数の減少の原因としては、そもそも出産適齢期にあたる女性の人口が減っているという問題があります。人口の多い団塊ジュニアも歳をとって、45歳以上になってきましたので、子どもを生むのは厳しい年齢です。
生む人が少なくなれば生まれる人が少なくなるのは当然の帰結です。
以下は2015年の日本の人口ピラミッドです。黒い部分が2015年、白い部分は1920年です。

ピラミッド型からつりがね型に見事に、そして驚くべき変化を遂げています。
そして、確かに若い人の数がどんどん減っているのです。もはや「人口ピラミッド」などという名称は「人口つりがね」に変えるべきでしょう。
少子化の要因(出生率の減少)
人口の減少に加えて、少子化に拍車をかけているのが出生率の低下です。
1人の女性が生涯に生む子どもの数を表す合計特殊出生率は2018年は1.42であり、3年連続低下しています。
以下は主要国の合計特殊出生率の推移を表しています。黒線が日本です。

(出所:社会実情データ図録)
2005年あたりを底に上向いてきたのですが再び下落に転じました。
ところで、単純ではないのは、合計特殊出生率は下落基調にありますが、子どもを生まない人が増えているのが実態であり、その原因は結婚しない人が増えていることに起因することに注意が必要です。
これは政治的、社会的要因が大きく影響を与えていると考えて間違いありません。
それらについての詳細は以下の関連記事をご覧いただければと思います。
とにかく安心して子どもを生める社会にしなくてはいけないとつとに思うのであります。
【関連記事】
少子化という言葉からは誤解が生まれる
若者はなぜ結婚しなくなったのか
『亡国のメガロポリス』(三橋貴明著)を読んでみた
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