外貨建保険の新試験導入は無意味に終わること間違いなし

鎖



外貨建保険の販売をめぐっての苦情が増加しているといいます。

外貨ですから、当然為替リスクがつきまといます。そして、当然のことながら元本割れのリスクがありますし、短期で解約した場合などは多額の解約控除を取られるような商品もあります。



苦情の原因


苦情の原因はやはり説明不足。

中でも、高齢者や高齢者のご家族からの苦情が多いようです。

もっとも苦情が増加しているといっても、販売件数が増加しているため、それに比例して増加しているだけであり、苦情の発生比率はむしろ減少しているという見方もあります。交通量が増えれば事故も増えるのと同じです。

まあ、比率で考えることを正当化することは頭のお堅い当局やそれに忖度する業界には到底できないことは容易に想像できますが。

苦情を減らすための新たな資格創設案


そこで考え出されたのは新たな資格制度の創設。

生命保険協会は2022年にも外貨建保険の販売をするにあたっての資格を導入する考えを示しております。

これに反発しているのが銀行業界。

なぜなら、外貨建保険の販売を数多く手がけているのは銀行などの金融機関による窓口販売だからです。銀行にしてみれば、試験が増えればその分コストが上乗せされますし、対応する手間(時間)もかかります。

ただでさえ、経営環境が厳しい中、コスト増加は避けたいという気持ちもあるでしょうし、その実効性にも疑問を呈することは容易に推察できます。

銀行業界の主張


銀行業界ではさまざまな意見が噴出しているようです。なかでも説得力があるのは既存の試験制度で対応できないかという主張です。

市場リスクを有する保険である変額保険に関しては、変額専用の試験がとうの昔から行われており、そこで補完すればよいのではないかというのが個人的な見解です。

市場リスクを有する保険のことを特定保険などといって、金融商品取引法の網を一部かけています。

変額保険も外貨建保険も特定保険ですから、変額の試験に外貨建の内容を織り込んで、試験の名称を「変額」から「特定」にすることで対応は十分に可能です。

そもそも現在、外貨建保険の販売が増え、苦情も増えているといっても将来的にこの状況が続くのかも定かではありません。

勢い余って過剰対応し、10年経ったらこんなの必要なかったということになる可能性が高いと思います。

苦情発生の直接要因(その1)


円建てで販売できる商品が減っている、これが外貨建保険の販売が伸びている要因の一つです。

マイナス金利が継続し、円建てで利回りの取れる運用手段はごくごく限られてきました。

高利回りが狙える商品は当然リスクも高く、また市場規模も小さいため、巨額の保険契約のマネーを運用できるようなマーケットではありません。

やむなく、販売を休止している商品が山のようにあり、いつ復活するかもわかりません。

円建てがないから外貨建て。外貨ならば、多少高利回りが狙える商品もあります。

これが苦情発生の要因の1つです。

苦情発生の直接要因(その2)


銀行はマイナス金利で本業で利益が上がりにくいため、他の業務で収益を稼ぐ必要に迫られています。

そこで利用されているのが保険販売。販売手数料を稼いで、なんとか厳しい経営環境をしのぎたいということです。

目標なりが与えられ、顧客の意向なんぞお構いなしに保険を売らねばならない、そして外貨建保険のほうが手数料が高いし、そもそも円建が無いんだからしょうがないってところなんでしょう。

銀行の経営環境の悪化にともなう他業務での収益確保のため。これが苦情発生要因の2つめです。

苦情発生の間接要因


直接的な要因ではないのですが、もう一つ考えておかねばならないことがあります。

銀行で保険を買ってみるとわかるのですが、その過剰規制たるや、もはや異常の域に達しています。

通常の保険代理店や保険会社には課されていない弊害防止措置などという複雑怪奇で、一般庶民には理解しがたく、しかし説明に時間を割かれ、肝心の保険商品の説明がかえってないがしろにされているのでは?とも感じます。

銀行員は少々IQが高いのかもしれませんが、「少々」程度であると思われ、説明している規制の意味や内容を深く理解しているとも思えません。

同じ窓口販売でも投資信託にはそんな奇怪な規制はかけられておりません。

生命保険業界からの嫌がらせとも思える規制は撤廃して、むしろ商品説明をきちんと行ってほしい。それが一般消費者の願いではないでしょうか。

個人的代替案


泥縄式の対応としかいいようがない対応策。これで本当に効果が上がるかと問われれば、答えは「ノー」でしょう。

本当に顧客保護(とりわけ高齢者)を図りたいのであれば、取るべき対応策は以下のようにするしかないと個人的には確信するのであります。

・再勧誘の禁止

例えば、70歳以上のお客さんには、リスク商品を勧誘して良いのは一度だけとし、そこで断られたら再度勧誘することは禁止とする。

・不招請勧誘の禁止

さらに80歳以上のお客さんには、リスク商品の勧誘は禁止とする。お客さんからの希望にのみ応えることとする。

70歳以上のかたには不招請勧誘を禁止にしてもいいでしょう。そして、若い人には再勧誘の禁止とか。

組み合わせはいろいろ考えられます。

まあ、お茶を濁して玉虫色の決着を図りたい保険業界と結局はどこかで妥協するであろう銀行業界、また、それを良しとするであろう金融当局が上記のような案を採用するはずもなく、いずれも半分腐っているというのがあくまでも個人的な感想です。

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