コンビニATM。ついに峠を下り始める

コンビニATMの利用状況
キャッシュレス社会の進展でその兆候はある程度予見されておりましたが、セブン銀行(8410)に代表されるコンビニATMの使用がついに減少し始めました。
2019年上半期、セブン銀行のATM利用件数は前年同期比で0.4%減少しました。通期でも減少の見通しであり、これは2001年の創業以来初めての事態になります。
コンビニATM利用減少の要因
そしてこの現象の原因はちょっと意外でもあるのです。
それは他の銀行の動きです。
今まで、自前でATMを持つよりもコンビニATMを利用してもらったほうが安くつくと考えて、積極的にコンビニATMを活用を推進していたと思っていた銀行が手のひらを返したように自前のATMの利用を促進しようと考えているようなのです。
その心はコンビニATM、具体的にはセブン銀行に払う手数料が大きな負担になってきたということです。
利益は毎年減るのに、セブン銀行に支払う手数料は毎年増える。銀行はこれに耐え切れなくなってきたのです。
たとえ無料でも自行のATMを使ってもらったほうがコスト安になるため、コンビニATMの手数料を無料から有料にしたり、値上げしたりする銀行が相次いでいます。
そして、利用者がその負担を嫌って利用しなくなってきていると思われます。
キャッシュレスが追い討ちをかける
それに加えて、キャッシュレス決済の増加という要因も重なっています。
キャッシュレス化を推進したい政府は消費増税の還元にキャッシュレスを絡めこんで現金を悪玉扱いしているかのようです。
そして、キャッシュレスが進めば当然コンビニATMの利用も減るというわけです。
現状ではわずかな減少であり、すぐに経営が悪化するという状況ではありませんが、長期的な衰退路線に入ったとも思われ、成長神話は崩れ去りました。
セブン銀行の危機感は相当なものだと想像します。なにしろビジネスモデルが崩れつつあるのですから。
打開策もインパクト不足
そこで、機能を充実させた第4世代型のATMを2019年9月から始めています。
しかし、そこに並ぶ言葉は・・・。「使いやすさの追求」「便利な追加機能」「安心・安全の徹底」とどうにもインパクト不足。わかりにくいビジネスモデルは発展しないのは、ピーター・リンチ氏やウォーレン・バフェット氏の言葉からも明らかでしょう。
セブン・イレブンの実質的創業者、鈴木敏文氏が一線を退いたあとのセブン・イレブンそしてセブン銀行はタガが外れて迷走状態に突入したかのようです。
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