NISAの延長案が複雑怪奇で意味不明。利用不促進か、妥協の産物か

これぞ妥協の産物というべきなのでしょうか。
2024年にNISAの仕組みが一新するというのですが、その中身が全くもって改悪としか思えないのです。
NISA、制度5年延長へ
現行NISAで投資できるのは、2023年末までです。
それを2020年度税制改正大綱で、2028年まで5年延長する方向ということです。延長自体はありがたいことです。できれば恒久化まで踏み込んでもらいたかったのですが・・・。
しかしながら新制度案がまったくもって理解しがたい異様ともいえる制度なのです。
不思議な仕組みその1
まずもって、奇怪なのは投資枠を1階部分と2階部分とに分けるというもの。
1階部分とはなにかといえば、リスクの低い投資信託などに限定して積み立てる、積み立て枠というもので、年間20万円が上限額になります。
月々1万円などと投資していくのでしょう。現行のつみたてNISAよろしく、投資できる投資信託が限定されるものと推測します。
不思議な仕組みその2
そして、なんと1階部分に投資した人のみが2階部分に投資できるというのです。
2階部分は現在の制度と同様ですが、金額の上限が102万円。なんで102万円?2万円っていったい何だ?100万円で切りよくすればいいのに。
まあ枠が大きいのは良いことですが、2万円の意味を知りたい。
よって、合計すると1年の投資可能総額は122万円となり、現行どおり5年利用できるため、総額610万円まで非課税枠で投資できるということになります。
1階部分は積み立てNISAと同様の仕組みとなり、2階部分が現行のNISAと同じ。
いったい全体そんな仕組みにする必要ある?いかにもわかりにくい。
しかも2階部分もリスクが高くて資産形成に向いていない商品は除外する方向で調整されているとか・・・。まったくの大きなお世話です。
まるで使ってくれるなといわんばかりの複雑な建てつけです。
制度が複雑だと利用されません!
現に、複雑すぎて利用が進まなかったジュニアNISAは2023年末で終了します。(口座数30万程度)
子どもがいても手続きが面倒で二の足を踏んだ人が多いでしょう。金融機関も手間暇かける割に儲からないので、積極的に勧めていない会社も多いのではないでしょうか。
今回の制度変更は、仕組みを複雑にすれば使う人が少なくなるのを目的とし、NISA恒久化をあきらめさせ、徐々に自然消滅を図りたいといわんばかりの改悪です。
制度改悪の裏を勘ぐりまくる
政府はとにかく税金取りたくて仕方がないのでしょう。
非課税のメリットを得たければ、奇怪な仕組みを理解して、面倒くさい手続きを踏んで、指定された投資商品の中から選びなさいといった、上から目線の制度なのです。
あるいは、いろんな人の意見をくみ上げて調整したら、変な制度が出来ちゃいました、でも我慢してねという妥協の産物である可能性も十分にあります。
とかく世の中が複雑となっていく中で、個々のサービスはなるべくシンプルでわかりやすくする必要があると思いますが、政府のやっていることといったら・・・。まったく逆行中です。
マニアック人間の意見がまかり通ると、一般庶民には理解不能でついていけなくなってしまいます。ジュニアNISAはまさにその典型です。
現行制度のまま延長、できれば恒久化。本来であればイギリスのように非課税枠の中であれば何度でも取引できるのが望ましい姿だと思います。
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