ネット証券の生き残り戦略に各社ごとの独自カラーが見え始める

道



ネット証券における株式売買手数料や投資信託の買付手数料無料化がドミノ倒し的に一気に進み始めていることは各種報道のとおりです。

当然、各社とも、減少する手数料を補うべく、新たなる収益源を求めて彷徨っているわけですが、それぞれの会社ごとに独自の色が出てきているという印象です。

あまりにも展開が速いために、他社の動向を見ながら戦略を立て、戦術を組むといった時間もなく、ある種思い付き的に事が進んでいるかのようです。



auカブコム証券が信用取引金利を引上げ


auカブコム証券は2019年12月16日から制度信用取引(※)における顧客への貸出金にかかる金利を2.98%から3.98%へと一気に1%引き上げます。

この超低金利時代に1%の上昇は大きい。まあ、とはいえ海の向こうのアメリカの大手ネット証券、チャールズ・シュワブの金利は7%~9%程度とめちゃくちゃ高いので国際的にみれば普通なのかもしれません。

ただ、日米では金利水準が違いますし、預金金利などほとんどゼロなのに、かなりえげつない金利です。

ちなみに大手ネット証券の制度信用取引の金利は以下のとおりです。
(2019年12月12日現在)

・SBI証券 年2.80%
・楽天証券 年2.80%
・マネックス証券 年2.80%
・松井証券 年3.10%
・GMOクリック証券 年2.75%
・岡三オンライン証券 年2.60%

松井証券を超えて一番の高金利になります。さすがはビジネスモデルが銀行系といったところでしょうか。

(※)制度信用取引
証券取引所が公表している制度信用銘柄選定基準を満たした銘柄のみを対象とする信用取引。返済期限は6か月以内と決められている。


松井証券は貸株サービスを拡充


松井証券では2019年12月21日から新たな貸株サービスを提供します。個人が信用取引の担保として差し入れている株式を、松井証券が、株を借りたい第三者(空売りなどをしたい機関投資家など)に貸し出して、その貸株料を収入源とするということです。

そして、株を貸す個人にも一部が還元されるというわけです。

しかし、貸株には注意が必要です。通常、証券会社に預けた株券は分別保管され、証券会社に万一のことがあっても、株券は安全に保管されます。

しかし、貸株を行った場合、上記の分別保管の対象から外れ、証券会社に万一のことがあれば、一般債権と化してしまいます。

そのため、証券会社の経営動向に常に気を配っておかねばなりません。個人的には利用したくないサービスの一つです。少々のこづかい稼ぎのために全てを失うリスクがつきまとうからです。

楽天証券はIFAとの連携を強化


楽天証券は独立系の金融アドバイザーであるIFA(※)との関係を強化する方針です。

顧客の資産から一定割合の手数料をもらい、IFAと楽天証券で折半するというビジネスモデルです。

資産の積み上げによって収益を得るビジネスモデルであり、手数料依存からの脱却を図りたい意向です。

(※)IFA
Independent Financial Advisorの略語。証券会社から独立して、金融に関してアドバイスを行う資産運用アドバイザーのことをいう。


おまけ


先日、松井証券が一日の約定代金が50万円までなら手数料を無料にすると発表しましたが、いつの間にかというか12月9日、SBI証券も追随すると発表していました。

相変わらずSBI証券は他社には価格競争で絶対劣らない、という固い意思が見て取れるのであります。

また、個人的な見解ですが、信用取引はよほどの覚悟(すべての資産を失う覚悟)がなければやるべきではないと思います。

とりわけ危険なのが2階建てといわれる取引です。例えば、イロハ株式会社の株を担保にして、イロハ株式会社の株を信用取引で買うといった取引です。

イロハ株式会社の株価が急落したり、運悪く倒産などしたものならば、借金のみ残るという事態に陥りかねません。リスクコントロールを上手にできる人でなければ危険極まりない取引手法です。

投資は自己責任で!

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