苦情防止も良いが外貨建て保険の販売経路が不可解だ

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外貨建て保険の苦情が急増していることがあらゆるメディアで喧伝されています。生命保険協会の調査によれば2018年度の苦情は前年同期比で3割増しとなっています。

もっとも販売件数に比例した動きであり、比率が上昇しているわけではありません。



外貨建て保険販売急増の理由


そもそもなぜ今、外貨建て保険の販売が急増しているのでしょうか。

なにしろ日本は異次元金融緩和中で、10年もの債券利回りはマイナス。超長期国債でも、ほとんどゼロ%です。

保険会社は資産の増えない円で保険料の運用を行うことができず、やむなく販売を休止している商品が多くなっています。そこで登場するのが外貨建て保険というわけなのです。

世界的に金利が低くなっているとはいえ、米ドルや豪ドルならば多少の利回りを得ることができますから。

外貨建て保険のリスクと苦情発生要因


しかし、そこにつきまとってくるのは為替変動リスク。当然のことながら、外貨建て保険は為替リスクにさらされます。

ところで、苦情の内容はといえば、やはりというべきか「説明不十分」というのが圧倒的多数です。

商品内容が複雑すぎるのか、ノルマに追われる販売員の押し売り営業なのかは定かではありません。

苦情防止に向けた対応


生命保険協会も苦情の増加に対処するための新たな方策を考えています。

外貨建て保険は銀行で売られることが多いのですが、2020年4月から、保険会社は銀行等金融機関に対し、時々刻々と変化していく顧客の保険の資産価値などの情報を提供していくということです。

現状では、個別に照会する必要がありましたが、その必要がなくなるというわけです。

そして、為替が急に円高に振れたりした場合に、保険の実質価値がどの程度になっているかわかるようにし、顧客へのアフターフォローにつなげたい狙いです。

2020年4月からすべての保険会社が対応できるわけではなく、まずは日本生命、明治安田生命、住友生命などの主要保険会社が対応し、その後順次増えていく模様です。

また、生保協会は生保販売に関するガイドラインを4月にも改正し、保険契約後も顧客とのコンタクトをとることを求めていく方針です。

外貨建て保険販売ルートの怪


それにしても不思議なのは外貨建て保険の販売ルートです。

2018年度に外貨建て保険は4兆円以上販売されているのですが、その主たる販売会社は銀行等の金融機関です。生保のおばちゃん(すいません)経由は少ないのです。いったいなぜ?

違いは、金融機関は顧客から預金を受け入れているため、その資産状況や資金の動きを把握しやすいためだと推測します。

しかし、金融機関は顧客の同意なくして、それらの情報(非公開金融情報などという)を利用できないものとされています。それにしても本当に同意を得てから利用しているのでしょうか?

そもそも、頭の中に記憶されてしまった顧客の預金情報などを消し去るわけにもいかないし、どうにも腑に落ちない規制の一つです。

窓口販売に関する規制の濃淡


金融機関による金融商品の窓口販売は保険のみならず、投資信託や債券なども行われています。

同じ窓口販売なのに、非公開金融情報なるものをあらかじめ顧客の同意なく、利用してはならぬと規制されているのは保険だけです。

銀行に保険の販売シェアを奪われたくない保険会社の嫌がらせ的規制と想像するのであります。しかし、その実効性ときたら、これまた疑わしく、狐と狸の騙しあいのような有様なのです。

そして、迷惑を被るのは結局消費者。

窓口販売に関する規制は投資信託も保険もなるべく同じにしてもらいたいもんですが、悪知恵の働きそうな保険業界の圧力でその実現は遠いと思わざるを得ません。

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