個人向け国債が人気。資金逃避先としては最適かも

地味~な存在ではありますが、毎月売られている個人向け国債。ここに来てにわかに人気を博して、販売が増えてきています。
個人向け国債の魅力
ゼロ金利に近いとはいえ、下限金利が0.05%に設定されていることから、現状で預金金利よりも若干利率も良く、途中換金しても元本割れを起こさないのがその魅力でしょう。
証券会社や銀行なども個人向け国債の販売に力を入れてきています。購入者に対し、キャッシュバックなどを行うキャンペーンなどが盛んに行われています。
個人向け国債は以下の3種類があり、いずれも毎月発行され、1万円から1万円単位で購入できます。金利の下限はどれも0.05%です。
個人向け国債の種類
・変動金利型10年満期
実勢金利に応じて半年毎に適用利率が変わる変動金利型。
金利の設定は、基準金利(※1)×0.66となっている。
・固定金利型5年満期
金利の設定は、基準金利(※2)-0.05%となっている。
・固定金利型3年満期
金利の設定は、基準金利(※2)-0.03%となっている。
(※1)利子計算期間開始日の前月までの最後に行われた10年固定利付国債の入札における平均落札利回り
(※2)募集期間開始日の2営業日前において、市場実勢利回りを基に計算した期間5年または3年の固定利付国債の想定利回り
実勢金利に応じて半年毎に適用利率が変わる変動金利型。
金利の設定は、基準金利(※1)×0.66となっている。
・固定金利型5年満期
金利の設定は、基準金利(※2)-0.05%となっている。
・固定金利型3年満期
金利の設定は、基準金利(※2)-0.03%となっている。
(※1)利子計算期間開始日の前月までの最後に行われた10年固定利付国債の入札における平均落札利回り
(※2)募集期間開始日の2営業日前において、市場実勢利回りを基に計算した期間5年または3年の固定利付国債の想定利回り
中でも人気なのは10年ものの個人向け国債です。
変動金利であることから、今後、金利が上昇するような局面がくれば、その恩恵を受けることもできます。金利が高いときは固定金利で、低いときは変動金利で、これは債券投資の王道でしょう。住宅ローンなどお金を借りるときはその逆になります。
それにしてもなぜ今、個人向け国債が人気なのでしょうか?また金融機関も販売に熱心なのでしょうか?その理由はいくつか思い当たります。
(理由1)金利の上昇によるもの
ここに来て、若干ではありますが、金利が上昇してきました。今後、消費増税の影響で腰折れする可能性大ですが、将来の金利上昇を期待して購入する投資家も中にはいるでしょう。
個人的には当面、金利は大きく上昇することはないと思いますが・・・。
(理由2)他に投資する商品がない
株は高値圏にへばりついており、逆張り投資の多い個人投資家にとっては動きづらい相場環境です。
為替も109円あたりをウロウロして、どう転ぶかわからないし、海外の金利も低いので、為替リスクをとってまで海外債券に投資する気にもなれません。
Jリートも株高に押され、少々値下がりしてきました。
どうにも投資する先がないのです。そこで消去法的選択で個人向け国債が買われているのではないかと考えられます。
(理由3)金融機関による客寄せパンダ商品化
今、証券会社や銀行は非常に厳しい経営環境におかれています。とにかく、顧客を増やし、お金をかき集めたいのです。
そして、その取っ掛かり商品として、安全な個人向け国債は最適なのです。
個人向け国債を販売しても、金融機関はそれほどの収益を得られないはず。それでも、熱心にキャンペーンなどを行うのは、ある種の下心があるからだと思います。
とりあえず、取引を開始してもらって、いずれは手数料が高くて、収益性が良い投資信託や保険などに取引を拡大してもらいたいのでしょう。
言葉は悪いのですが、ある種罠といえなくもありません。(性格がひねくれておりましてご勘弁ください。)
参考データと個人的見解
ちなみに下図は少々古いデータですが、家計に占める金融資産の比率を時系列で表したものです。

なにより驚かされるのは、個人が持っている国債はほんの微々たるものだということ。金額にして15兆円前後だと思われます。
さらに個人保有の国債だけの推移を表したのが下図です。

10年ほど前から国債離れが進んでいることが見て取れます。国債消化のためには個人にももっと買ってもらいたいというのが財務省の希望でしょう。
そして今、変動金利の10年ものの個人向け国債は確かに魅力的ではあります。あふれるほどのものではありませんが。
資金はあるが、今はどうも恐くて株やリートに投資したくないという人にとっては、資金の逃避先の一つとして検討の余地は十分にあると思います。

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