Jリートの人気停滞の理由は株高。しかしその株高も危うさ増す

Jリートが株高に押され、下押ししています。
東証リート指数は11月、7か月ぶりに月間ベースで下落しました。12月も軟調気味に推移しています。
これは日本だけの現象ではありません。世界的にリート市場から資金が流出しています。とりわけひどいのは香港です。これは大規模なデモが依然として収まらないという特殊要因が大きいのですが。
そして、アメリカも日本並みの下落となっています。
Jリート軟調の理由(金利上昇)
Jリートが下落している理由は2つです。
一つは長期金利の上昇です。米中貿易戦争が停戦状態になったと見た投資家が債券から株式に資金を移動させたために、金利が上昇しました。
2019年12月10日には9か月ぶりに10年もの国債がプラス金利に転じ、昨日(12月20日)もなんとかプラスを維持しています。Jリートと、国債の利回り格差が縮小し、Jリートが売られることになったというわけです。(たかだか知れたものなのですが・・・)
アメリカの景気は底堅く、2020年の利下げ観測が遠のき、日米金利差が縮小する懸念も少なくなったため、日銀によるマイナス金利深堀りの可能性も低くなったと見られています。
中でも軟調なJリートはホテル系です。東証リート指数を軒並み上回る下げとなっています。日韓関係の冷え込みから訪日客が減少し、ホテルの需要が減少しているのが一要因となっているようです。
もっとも、主たる投資先であるオフィス系不動産の実需は引き続き堅調を維持し、大きく崩れることはなさそうな気配です。
Jリート軟調の理由(株高)
もう一つの理由はやはり株高です。
海外のヘッジファンドなどを中心にJリートを売り、株に資金を移す動きが広がり、株式市場は想定外?の好調さです。
ここ数年、株とJリートの相関は逆相関になっており、株が買われるとJリートが売られるというシーソーゲームとなっています。これは長期的に見ると不思議な現象であります。(むしろこれが普通という見方もできる。)
もっとも、Jリートが最近高くて買いそびれていた投資家にとっては絶好のチャンス到来ということで、売り買いが交錯しており、売買代金が過去最高にまで盛り上がっています。
株式も安閑とはしていられない
ところで、株も危険な足音が聞こえてきています。
恐怖指数として捉えられる日経ボラティリティインデックス(※)は実に2年4か月ぶりの低水準で、市場は不気味な安堵感に包まれています。
マーケット関係者にも強気の声が多く、調整局面に入るというのは小数意見であることが逆説的にマーケットに暗雲が立ち込めてきていることの証左です。
しかしながら、ブリッシュコンセンサスの考え方を無視することはできません。
(関連記事)ブリッシュ・コンセンサスによる投資家心理の分析
(※)日経平均ボラティリティー・インデックス
投資家が日経平均株価の将来の変動をどのように想定しているかを表した指数。値が高いほど、今後、相場が大きく変動すると見込んでいることを意味する。
投資家が日経平均株価の将来の変動をどのように想定しているかを表した指数。値が高いほど、今後、相場が大きく変動すると見込んでいることを意味する。
みずほクラッシュ指数なるもの
ところで、みずほ証券が算出している「みずほクラッシュ指数」なる指数があるということです。
これは過去100営業日のTOPIXのチャートの形が、過去のバブル相場のパターンにどれだけ近いかを表す指数です。
下落パターンとしては、徐々に大きな上げがなくなって株高の勢いがなくなり、そして急落するというのが下げの特有の動きだとしています。
この指数が現状、0.8弱程度であり、クラッシュを起こす目安となる0.6を大きく上回っています。2018年2月に同指数が0.8に近づき相場が下落しました。
その当時のTOPIXの動きは以下のチャートの赤枠部分です。

このみずほクラッシュ指数なるもの、いったいどこで見ることができるのか?調べてみましたがわかりません。
みずほ証券のお客にならないと教えてもらえないのかもしれません。
それにしても年末年始は市場参加者も減って、株価も変動しやすくなりそうです。いったん売れるものは売っておこうかと迷える今日この頃なのです・・・。
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