ネット銀行も投資信託の手数料無料化追随

ネット証券が投資信託の販売手数料を軒並み0円化しているのは既報のとおりです。
そして、ネット証券に負けじとネット銀行も手数料無料化を打ち出してきました。
ネット銀行の対抗策
ソニー銀行は、2020年1月から取扱全ファンド(200本超)をすべて無料化すると発表しました。これまで、最大3.3%もの手数料を取ってきたのにコペルニクス的転回となりました。
ネット証券へ顧客が流れてしまうのを危惧しての対応となった模様です。それにしても残念なのは取扱ファンド数が少ない。大手ネット証券とは1桁違う寂しさです。
また、ジャパンネット銀行はノーロード投信を増やしており、約7割の投信が手数料無料で買えます。しかしながら、ジャパンネット銀行も取扱ファンド数が少ない。
銀行業が本業なので仕方がないといえばそれまでですが・・・。そして、その他のネット銀行(イオン銀行など)も追随していく構えを見せています。
急転直下の各種手数料無料化のきっかけ
ここ1か月ほどで、急展開を見せている各種金融商品の手数料無料化。
そのきっかけは何なのでしょうか?
呼び水となったのは、auカブコム証券(旧カブドットコム証券)の信用取引の手数料無料化です。このauカブコム証券、KDDIの出資を受けるとともに、TOBにより2019年8月に上場廃止しました。
資本力がアップするとともに、非上場企業となったことで、株主からの短期的利益追求のプレッシャーから逃れることができたため、思い切った施策を打ち出すことができたのだろうと推測します。
上場ネット証券に、「やれるものならやってみろ」とある種、けんかを吹っかけたともいえます。しかし、上場ネット証券はそのけんかを買いました。auカブコム証券にとっては意外だったかもしれません。
しかも、すぐに応戦してきたのですから。
ネット証券の株価動向
ちなみに最近の上場ネット証券(松井証券、マネックスグループ)の株価推移は以下のようになっています。
SBI証券はSBIホールディングスの一会社、楽天証券は楽天の子会社であり、他業務の占める割合も大きく、影響が軽微であると考えるため、外しました。
(松井証券)

(マネックスグループ)

松井証券、マネックスグループともに下げがきつい。日経平均は比較的しっかりしているのですが・・・。まあ、やはりといったところでしょう。
投資信託の信託報酬も右肩下がりですし、収益基盤は細るばかりです。
2020年1月には三菱UFJ国際投信が信託報酬年率0.0858%と世界最低水準のグローバル株式のETFを出すとか。こんな低い信託報酬見たことありません。
そして、それが手数料なしで買えるのですから投資家にとってはうれしい限りです。
腰が引けている現物株手数料無料化
さて、信託報酬も、信用取引のような貸出金金利もなく手数料を無料化したら何の収益も生まなくなってしまう現物株取引。
こちらもいずれ無料化となる気配ですし、今でも松井証券やSBI証券なら50万円までなら無料となっています。
しかし、全面無料となるとさすがに各社腰が引けているようであり、auカブコム証券やSBI証券も無料化の方向を打ち出してはいますが、あくまで「予定」。
今後の収益動向ではどうなるかわからないのが現状です。さて、どうなることやら・・・。
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