イデコ、2020年税制改正大綱でさらに拡大へ

2020年の税制改正大綱がこのほど公表されました。
それによれば、企業型、個人型を問わず、確定拠出年金の制度改正が目立ちます。政府が確定拠出年金に力を入れていることがよくわかる改正となりました。
その他にも金持ち優遇の見直し等、格差拡大の歯止めを図りつつ、税収を確保したいという姿勢が見て取れます。
個人型確定拠出年金(イデコ)の制度改正
現在、掛け金を拠出できるのは60歳までですが、65歳まで掛け金を拠出できるように改正されます。
また、現行の制度では勤務先に企業型の確定拠出年金がある場合、会社の規約がないと、イデコには加入できませんが、実際問題、そのような規約がある企業はほとんどなく、企業型確定拠出年金に加入している約700万人のうち、イデコにも加入しているのはわずか4千人程度です。
そこで、今回の改正で規約がなくても、イデコに加入できるようにしました。現状、イデコの加入者は約140万人。これをもっと増やそうという国策なのです。
企業型確定拠出年金を導入する企業では、月5.5万円を上限に企業がその掛け金を拠出します。
現行制度では、イデコ加入を認めるためには企業型の上限を3.5万円にしなければなりませんが、すでにそれ以上拠出している従業員がいる場合は規約を作ることは至難です。
改正後は、企業型の上限を5.5万円にしたまま、企業型とイデコの併用を可能とするのです。
また、これまで会社の掛け金に加え、その掛け金を上限として自らの資金で上乗せ拠出するマッチング拠出が認められていた企業はイデコに加入できませんでした。
改正により、従業員はマッチング拠出をするか、イデコに追加で加入するかを選べるようになります。
そして、受給年齢についても現行の60歳~70歳までを、60歳~75歳までに延長することとしました。これは企業型についても同じです。
企業型確定拠出年金の制度改正
現在、掛け金を拠出できるのは60歳までですが、一気に70歳まで掛け金を拠出できるように改正されます。
拠出期間の延長の原因となったのは、60歳を過ぎても働く人が増えているためです。
確定拠出年金制度が発足したのが2001年。その当時、60歳を超えて働くのは約5割でした。
しかし、現在では約7割に達します。働いている間は掛け金をかけられるようにし、年金受給を遅らせることで、政府の社会保障費を抑制したいという魂胆が垣間見れます。
また、政府は従業員が希望する場合、70歳まで働ける機会を確保するよう企業に新たな義務を課す法改正を目指しています。つまり、なるべく死ぬ直前までできる限り働いてくれということです。
日本における確定拠出年金の特徴
企業型、個人型とを問わず、日本の確定拠出年金において特徴的なのは、その運用方法です。
企業型では約5割、イデコでは約6割もの人が元本確保型の商品を選んで運用しています。
イデコなどは手数料も負担せねばならず、元本確保型では実質損失ということにもなりかねませんが、それ以上に所得税が減るという減税効果を期待しているというもっともらしい意見もあります。
しかし、私などはそればかりだとは思えません。ここ20年以上デフレに苦しめられた日本では、リスク性金融商品に投資する意味はほとんどありませんでした。
なにしろ、モノの値段が上がらない(あるいは下がる)のですから、相対的に、現預金保有が有利だったのです。
だから、資産を運用で増やすということに慣れていないのです。インフレにならないのだから、預金で放っておけばよいという考えに至るのはごくごく自然でしょう。
デフレ脱却が見えない中、リスクを大きく取ってまで資産を増やしたいと考える人はそうそう増えないと推測します。
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