松井証券、松井道夫社長の年頭あいさつはいつも個性的

富士山



証券業界の風雲児などと呼ばれ、1999年の株式売買委託手数料の自由化とともにネット証券の走りとなった松井証券(8628)の松井道夫社長。

毎年、年頭のあいさつを自社のホームページに掲載するのであります。



今年の年頭あいさつには注目していた


年頭のあいさつ。これがよく考えられた内容で意味深い。今や、SBI証券や楽天証券の後塵を拝すこととなったとはいえ、超ローコスト経営で、高い利益率を確保し続けていることは賞賛に値するでしょう。

ところで、昨今、株式、投資信託の買付手数料の無料化を各社が相次いで打ち出しており、特に今年の松井社長の年頭所感には注目していたのです。

(ポイント1)経営者としての立ち位置


人生100年時代と言われる中、私などはまだ人生の三分の二に到達したにすぎず、「もうはまだなり」で経営者を続けていくのが定めだと思っている。

若くて、喧嘩っ早いイメージのあった松井社長も既に66歳です。とはいえ、人生100年時代と考えれば、確かにまだまだ3分の2。

現に信越化学の金川会長(93歳)やスズキの鈴木修会長(89歳)などは未だ元気漫々で経営の第一線で頑張っています。

また、創業者一族による経営は求心力、経営のスピード感でサラリーマン社長を大きく上回ります。

ただ、ネットの社会はあまりに変化が早く、技術もどんどん進化していきます。スマホへの対応が遅れて落ち目となったヤフーなどが好例でしょう。

新技術への対応が遅れないよう、若手の後進の力を借り、独善さを少々控えながら経営を続けていけば、あと10年は大丈夫ではないでしょうか。

(ポイント2)自らのビジネスモデルの分析


教科書がない時代変化が急激に起きている。新しい世代にその対処を任すのはいえ、経験というのを軽んじてはならない。

20数年も前に創ったネット証券ビジネスが、その参入障壁の低さゆえの過当競争によって10年ほど前に終焉しているのは十分認識していた。

また、それを乗り越える為の多角化というのが組織の肥大化によるコスト増を招いて、21世紀型経営の足枷(あしかせ)にしかならないというのも、これまで何回となく指摘してきた。

実際に多角化の一環としてのFXビジネスや投信販売ビジネスも、株同様に過当競争に陥り始めている。

やはり若い世代に経営を託していくとご本人も述べています。そしてネット証券ビジネスがいずれ先細っていくこともずいぶん前から認識していたようです。

しかし、多角化をすれば組織が肥大化し、コストが増えてしまうことから、確かに本業に特化した経営を是としてきたようです。

これには若干違和感を覚えるところがあります。SBIは多角化を積極的に邁進し、大きな成功を収めています。

楽天証券は楽天の子会社なのでそもそも楽天経済圏の一部であり、こちらも楽天経済圏の中で相乗効果を発揮しています。

ところが松井証券は本業特化で稼げるうちに稼げるだけ稼ぎましたが、いよいよ衰退期に入りだしたと考えることもできるでしょう。

手数料値下げでは常に他社に遅れをとったため、シェアを下げていく結果となりました。また、独善的な経営で、人を育ててこなかったために、収益の多角化があまりに遅れ、ようやく多角化を目指したら、そちらも価格破壊を起こしてしまったという印象です。

(ポイント3)手数料ゼロ革命への考え


最近の「株式委託手数料無料化」騒ぎも、経済環境など違う米国の事例を日本に焼き直すというような単純な図式ではない。世の中は刻一刻変化しており、その流れを掴むことは経営上極めて大事。

最近の手数料ゼロ革命はアメリカ発であることは間違いありません。そして、それをそのまま日本にも当てはめるのはあまりに拙速だろうと思います。

しかし、その拙速は起こりました。もはや世界は極度に狭くなり、情報は一瞬で地球を駆け巡ります。

正直この流れに、さすがの松井社長も戸惑っているのではないでしょうか。しかし、戦略家の松井社長のこと。緻密な計算で、勝ち残り戦略を練っていることは間違いありません。

感想


もう少し、昨今の手数料騒ぎについての言及があるかと思いましたが、割りにあっさりとした印象。

現物株手数料を50万円まで無料化したことや、今後、他社が信用取引の手数料のみならず、現物株手数料の完全無料化までを打ち出していることから、あまりに今後の経営動向が不透明であり、深い言及はできなかったものだと勝手に推測するのであります。

2020年、株価動向、経済動向のみならず、証券会社の手数料戦略にも目が離せません。

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