RPAはAIよりも実践的かつ即戦力となるITツール

パソコン



AI(人工知能)の潜在能力たるや恐ろしい。しかし、現段階ではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)のほうがより現実的かつ効果的かもしれません。



RPAが大企業を中心に急速に普及


パソコンで繰り返し行われる単純作業を人間に代わって行うRPA(※)が大企業を中心に普及してきています。

ある企業では経理や総務の仕事を皮切りに、さらにその活用を進めており、今後数年以内に数百もの業務をRPAに行わせる計画です。

そして、全社員の労働時間のうち、年間10万時間をRPAが削減することとなります。

働き方改革による労働時間の短縮と人手不足による労働力不足をRPAでかなりの部分賄うことができることになります。

また、別の企業では市場調査や財務諸表の作成、取引先の与信管理などをRPAが行っており、過去1年で、1万数千時間の労働時間の削減に成功しています。

また、マイナス金利にあえぐ某メガバンクも2023年度までにRPAを活用し、3千人分の業務を行う予定です。

無人のオフィスでパソコンの画面が次々と変わっていくさまはある種、近未来の世の中を見ているようでもあります。

(※)RPA
人手に頼っている定型的な作業を、パソコン内のソフトウェア型ロボットが代わりに行うことで業務プロセスを自動化する技術。AIは自ら学習し、進化あるいは変化し、自ら判断をする能力を有するのに対し、RPAは自ら学習することはなく、判断を下すこともない。RPA導入の目的はコスト削減、人的ミスの削減、業務効率化である。


中小企業にも活用が広がりつつある


今のところ、大規模な活用は巨大企業にとどまっていますが、低価格のRPAソフトも出回ってきており、その活用は中小企業にまで広がってきました。

人手不足に陥っているのはむしろ中小企業であり、AIの導入はあまりに敷居が高いもののRPAであれば比較的容易に導入が可能なのです。

RPAとは直接関係はありませんが、以下はここ数年の平均時間外労働時間(年間)の推移を表しています。

20200111zangyo.jpg
(出所:経団連)

少しずつではありますが、残業は減ってきていることがわかります。

ただ、非製造業はあまり減っていません。やはり労働集約的であり、人手不足が響いているものと推測します。製造業は資本集約的であり、技術の進歩や投資により、労働生産性を高めやすいということでしょう。

RPA市場の近未来


RPAの国内市場規模は2018年度で約420億円とまだまだ小さいですが、前年に比べれば2倍以上に成長しています。2022年度には800億円に成長するという予想もあります。

汎用的とはいえ、あまりに抽象的なAIよりもRPAのほうが実践的ではないかと思います。

そして、人間は過重な長時間労働から解放されるとともに、より創造的な仕事に集中でき、労働生産性が向上することになります。遠くのAIより近所のRPAといったところでしょうか。

しかし、重大な問題として、RPAなどの技術を投入して労働生産性が向上しても、その恩恵を社員が被ることなく、経営者と株主のみに還元されるのでは?という懸念があります。

アメリカ社会はまさにその典型例でしょう。日本はアメリカの悪しき点を学んではならないと切に願うばかりなのであります。

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