70歳までの雇用確保努力義務、いったい、いつまで働けば・・・

鎖



社会保障の負担増加抑制、少子化による人手不足対策、この2つの理由により労働者はますます年老いても働かなければならなくなりそうです。

まあ、働くチャンスを与えたれるとでも言い換えればきれいごとになるのですが・・・。ものは言いようってことで、表現の仕方で白いものも黒く、黒いものも白くなるものなのでしょう。



70歳までの雇用維持の努力義務


老奴いや労働人口の減少を食い止め、社会保障費の伸びを抑制してプライマリーバランスの黒字化を達成するため、企業に70歳まで社員を働かせるチャンスを与える努力義務を課す「高齢者雇用安定法」の改正案が国会に提出される予定です。

早ければ2021年春にも施行される予定となっており、電光石火の早業です。憲法改正は遅々として進まないのに・・・。

現状の高齢労働者雇用義務


現状では、年金がもらえる歳になる65歳までのつなぎをなんとかしなければならないということで、65歳までの雇用を保証する義務が企業には課せられています。

対応の仕方は以下の3つのうちからどれかを企業が採用することになります。

・定年の廃止
・定年の延長(65歳以上)
・継続雇用制度の導入(65歳まで)

です。さすがにいくら人手不足とはいえ、定年の廃止は企業にとっては勇気がいるものです。そのため、導入は2.7%にとどまっています。

そりゃ、そうでしょう。暇つぶし程度に会社に来て、ろくろく働かない老人を80歳、90歳まで雇うわけにはいかないですから。かといって辞めてもらうとなると裁判になったりする可能性もあったりしてなかなか面倒くさい。

今は人手不足ですが、将来はAIやらRPAやらの技術革新が広まって人手不足も解消するかもしれませんし、景気が今よりさらに悪化する可能性も否定できません。事実、ここ数か月の景気動向は悪化しています。

定年延長すらなかなか踏み込めないのが実態で、実際問題として、8割がたの企業は継続雇用制度の導入をしています。

本人が希望すれば、雇用を維持する義務があるというわけです。

なにしろ65歳までの雇用対策は努力義務ではなく、義務なのできれいごとを言って、できませんでしたでは済まないのです。実行できないと行政指導を受けることとなり、それでも改善されないと社名が公表される可能性があります。

公表されれば会社の恥をさらすことになりますし、人も採用しにくくなるでしょう。

法改正によってどう変わる?


改正案では企業は70歳まで雇用を確保する努力義務が課せられます。具体的には以下の7項目の中からどれか1つ以上採用する努力義務です。

・定年の廃止
・定年の延長(70歳以上)
・継続雇用制度の導入(70歳まで)
・他の企業への再就職口の確保
・フリーランス(自由業)となった人への業務委託
・起業して独立した人への業務委託
・社会貢献活動への業務委託等

新メニューが4つ加わったわけですが、いくつかの疑問が湧いてきますし、課題や問題点もあります。

新制度への疑問(他企業への再就職口確保)


まずは、「他の企業への再就職口の確保」です。自企業で支えきれない社員を他の企業へ紹介するようなことだと思いますが、そもそも必要とされる人材を外に出すのか?という疑問が湧いてきます。

要らない社員を放り出すことは大企業が下請け会社に押し付けるような形で実行されるのではないかと推測します。押し付けられた方はいい迷惑になりますし、そもそも中小零細企業には押し付ける先もありません。

大企業がその優越的な立場を利用して下請けに負担を強いる可能性が高いと思います。

新制度への疑問(業務委託って本当にされる?)


会社を退職して、フリーランスになったり、会社を立ち上げた人に業務委託をするというメニューですが、本当に業務が委託されるのでしょうか?

それにどの程度の業務を委託すれば実行したことになるのか定かではありません。

「そのうち委託するよ~。でも今仕事ない。」の一言で片づけられる可能性大です。

あるいは「この値段(タダみたいな値段)でやってね。いやならいいけど。」と搾取される可能性も大です。口約束だけで、実際には何も行われない可能性も否定できません。

日経新聞の報道への疑問


2020年1月11日の日本経済新聞の1面トップ記事。

「70歳超えても働く」過半数

日経新聞が独自に行った郵送でのアンケートの結果です。それによれば、70歳以上まで働くつもりだと答えた人が過半数にのぼるというのです。でもよくよく見てみれば60歳代の働いている人の結果。

全年齢で見れば37%になります。一部抽出した結果がデカデカと1面を大きな文字で飾っているのです。偏向報道といわれても仕方ないでしょう。

外国人増加「良い」69%

の文字も踊っています。安価な労働力を求める産業界への忖度が目に余ります。以下は外国人労働者の推移です。

20200112gaikoku.jpg
(出所:社会実情データ図録)

デフレで日本人の雇用が奪われていた就職氷河期でも一貫して右肩上がりです。

安い労働力導入 → 皆の賃金が下がる → 所得が減って消費が減る → 消費が減るから企業の売上が増えない → だから設備投資もしない → 労働生産性が改善しないので安い労働力導入・・・

がひたすら繰り返されるのです。まさにデフレスパイラル。

そもそもアンケートの結果が全国紙の1面トップっておかしくない???

「貧すれば鈍す」


以下はメディア媒体ごとの広告収入の推移です。

20200112koukoku.jpg
(社会実情データ図録)

新聞の落ち込みようがすごい。完全にインターネット広告に取って代わられたといっていいでしょう。朝日新聞は希望退職を募った、とかをいう話も耳にしました。

そして、広告収入を確保したい新聞は徹底的に大企業に忖度するのです。

また、軽減税率を適用してくれた財務省にも忖度しまくるのです。そして「今後も世論誘導するからお互い助け合いましょう」といった関係が続くのです。

グローバリストと財務官僚のための広報誌、それが日経新聞といったところでしょうか。商売根性丸出しの新聞稼業にはいささかあきれ返るのであります。そして、貧すれば鈍す。報道機関としての信頼が大きく揺らいでいることは間違いないでしょう。

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