中国の一帯一路という「債務の罠」による支配

港



最近はそのからくりが見破られたため、罠にはまる国もなくなってきましたが、つい最近まで中国は金にものを言わせ、発展途上国の港湾などを実質的に自分たちのものにしてしまっていました。

一帯一路(※)というもっともらしい政策の名のもとに行われた「債務の罠」による実質的な植民地化、間接侵略です。

(※)一帯一路
中国の習近平国家主席が2013年に提唱した経済・外交圏構想。かつて中国と欧州を結んだシルクロードを模し、中央アジア経由の陸路「シルクロード経済ベルト」(一帯)とインド洋経由の海路「21世紀海上シルクロード」(一路)で、鉄道や港湾などインフラの整備を進める構想。




スリランカの事例


2010年、中国はスリランカ政府に10億ドル以上を融資し、スリランカの漁村に港湾を建設しました。建設するのはもちろん中国企業。そして、融資の金利は最高で6.3%もの高金利です。

スリランカは小さな国ですから、結局、金利を払うことができなくなってしまいました。

そして2017年7月、スリランカ政府は債務の減免を条件に港湾の運営権を中国企業に譲渡しました。

その期間はなんと99年。その間、スリランカは港湾という重要なインフラを失うとともにその治安警備についても中国が担うこととなってしまいました。ほとんど中国領になってしまったといっても過言ではないでしょう。

スリランカの議員は債務による罠だと憤りますが、時すでに遅し。スリランカの貿易を担う重要な港湾設備が実質的に中国の手に渡ってしまいました。

途上国各国の反応


さすがにこのような事例を見たアジア諸国は、中国の下心に気が付き始め、一帯一路と距離を置く国が出てきました。

パキスタンはインダス川のダム建設に対し、中国が申し出ていた140億ドルの融資を断りました。ネパールも25億ドルにおよび水力発電事業の取消を決定しています。ミャンマーも中国主導の36億ドルにおよぶダム建設の再開を拒否しました。

これら中国の融資や投資は一見、各国のためのように思われますが、実のところは発電された電力が中国にわたることとなっていたり、借金が返せなくなればスリランカ同様にそのインフラを乗っ取るといった中国のためのものなのです。

そして、これらは経済政策のみならず、軍事政策とも密接に絡みつく中国の覇権奪取のための戦略であることは火を見るよりも明らかです。しかし、そのやり方があまりにも露骨なため、容易に見破られることとなりました。

一帯一路は欧州までをも乗り込む戦略


一帯一路はアジア諸国にとどまりません。現代版シルクロード構想である一帯一路はヨーロッパまでをも飲み込もうとしています。中国は東欧16か国に対し、インフラ整備を目的として36億ユーロの融資枠を設定すると表明しました。

こうした中国の動きに対して、アジア、欧州各国の対応はさまざまであり、必ずしも拒否反応を示している国や政治家ばかりではありません。

ハンガリーやイタリアなどは前向きな姿勢を示しています。貧すれば鈍すといいますが、罠であることに気がついているのかいないのか・・・。罠とまで言えないとしても少なくとも中国の都合の良い政策であることには間違いないでしょう。

中国の反論、しかし金利が・・・


中国はスリランカの一件でなぜか日本を引き合いに出し、日本からスリランカへの融資は中国からよりも多いと反論しました。

しかしその金利が・・・。

中国は6.3%と異様に高いのに対し、日本は0.5%と良心的な金利です。日本人がお人好しすぎるのか、中国人が強欲すぎるのか・・・。それを判断するのはあなた次第といったところでしょうか。

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