購買力平価から現状の為替水準を考える(2020年1月)

新型コロナウィルスの感染が止まりません。いよいよパンデミックの様相を呈してきました。
発症までの時間が長いことから、すでに日本にも潜在患者が少なからずいるかもしれません。そして世界的大流行をも引き起こす可能性は十分です。
そして有事となれば買われるのは円。今年は東京都知事選やオリンピック、米大統領選やら、大きなイベントもあり、株価動向のみならず為替動向にも目が離せません。
ここしばらく購買力平価に基づく為替レートを全く確認していなかったので、久しぶりに調べてみました。
為替レートと購買力平価
国際情勢が危うくなると買われるのが、円とスイスフラン、金などでしょうか。
ここ最近は為替に大きな変動はなかったのであまり気にしていなかったのですが、今年は大きく動く可能性もありますので、その振れ幅や方向性についてある程度の目途を持っていなければならないと感じています。
なにしろ日本株は円高⇒株安、円安⇒株高という単純な構図が成り立ちやすいからです。
そして、為替レートは結局のところ、購買力平価(※)に収れんされていくというのが過去の経験則なのです。考えてみれば当たり前なのかもしれません。
しかし、その収れんの仕方にも特徴があります。(なお、購買力平価は「消費者物価」「企業物価」「輸出物価」の3種類で計算されています。)
1.消費者物価指数まで円安となることはまずない
2.輸出物価指数まで円高となることはまずない
3.企業物価指数を仲値ととらえることができそう
2.輸出物価指数まで円高となることはまずない
3.企業物価指数を仲値ととらえることができそう
の3点が私なりの推論なのです。
(※)購買力平価
ある国の通貨建ての購買力が、他の国でも等しい水準となるように、為替レートが決定されるという考え方です。購買力平価はよくハンバーガーの値段で説明されます。アメリカでビッグマックが3ドル、日本では450円だとしたら、3ドルと450円の価値が同じであり、1ドル150円が適正ということになります。
ある国の通貨建ての購買力が、他の国でも等しい水準となるように、為替レートが決定されるという考え方です。購買力平価はよくハンバーガーの値段で説明されます。アメリカでビッグマックが3ドル、日本では450円だとしたら、3ドルと450円の価値が同じであり、1ドル150円が適正ということになります。
ここ最近の動き
2018年末、2019年末の動きを見ていなかったので、過去のデータにそれを足しこんでみました。
この2年で、消費者物価指数からとらえた購買力平価に基づく為替レートは125.46円から121.63円へ、同企業物価指数では、96.04円から95.08円、同輸出物価指数では76.06円から71.57円といずれも円高方向へ進んでいます。
確実に円高への圧力が高まったといえます。現実に、ここ1年で2~3円程度の円高が進んでおり、購買力平価と比例した動きです。
下はそのグラフです。

グラフから読み解く個人的推測
このグラフから推測できることは以下のとおりです。
・120円を超えて円安が進むことはまずない
・かといって、70円台前半までの円高はまずない
・妥当なレートは95円程度と考えられ現状はかなりの円安と考えることができる
・かといって、70円台前半までの円高はまずない
・妥当なレートは95円程度と考えられ現状はかなりの円安と考えることができる
といったところです。
企業の業績予想は想定為替レートが105円程度と考えられ、今後有事の円高が進めば業績の下方修正と株安が襲ってくる可能性は十分あり、それを考慮しておかねばならないと思う今日この頃です。
投資は自己責任で!
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