ファーウェイと中国。バックドアに象徴される恐ろしい一面

先日、NHKスペシャルで、ファーウェイを取り巻く米中の戦略について特集が組まれておりました。
その内容はNHKにしては?なかなかまともで秀逸であったという印象です。
私はテレビをほとんど見ませんが、N国党の支持者でもなく、受信料はしぶしぶながらお払いしていますので、NHKを見る権利を有しているのです。
そして、NHKスペシャルはスポーツ番組を除くと唯一ともいっていい視聴番組なのです。もちろんその内容によりますが。
閑話休題。番組の内容を記録のためにまとめておこうと思った次第なのです。
ファーウェイとは
今さらですが、ファーウェイは中国の通信機器メーカーです。売上高は13兆円にのぼる巨大企業です。日本のソニーが9兆円弱なので、その巨大さがわかろうというものです。
そして何より驚かされるのは、その研究開発費。なんと毎年1兆円以上も研究開発のために資金をつぎ込んでいます。
この研究開発を武器に技術力を向上させてきました。そして、なによりもファーウェイの強みは値段が安いこと。
技術が高く、値段が安いとなれば人気が集まるのは当然といえば当然なのです。ファーウェイの監視カメラを活用した中国の街では犯罪が25%も減少したとのこと。
市民も安心して街を歩けるようになったそうです。「プライバシー?そんなものは必要ない。」とインタビューに答えていた中年男性の姿が印象的でした。
一点の曇りもない善良な市民であればそうなのでしょう。あるいは洗脳されているのかもしれません。
ファーウェイ製品の疑惑
そのファーウェイの製品について、アメリカのセキュリティ調査会社が調査を行いました。その数なんと500種類以上です。
その調査でファーウェイの製品に重大な疑惑が発覚することになります。
なんとファーウェイの製品に搭載されたソフトウェアには外部からの侵入を可能とするアカウントがあり、パスワードが設定されているのです。
パスワードを知っていれば誰でも外部からひそかにその製品に侵入できるのです。このバックドア(※)といわれる仕組み、意図的にそして秘密裏に仕組まれたものなのか、単に技術者のミスなのかはわかりません。また中国政府の命令による可能性も否定できません。
中国の国家情報法第7条には、中国人は誰もが国家の情報活動を支援し協力しなければならない旨が定められています。
そして、中国政府はこれらのバックドアから機密情報を抜き取るよう中国企業に命令する可能性があるのです。中国では政府と企業が一体化しており、企業は国家の命令に従わざるを得ないのが実態です。
(※)バックドア
バックドアとは、裏口、勝手口という意味。バックドアはユーザーの知らない間に秘密裏に仕込まれ、その存在によりユーザーに気付かれないよう遠隔操作を可能とする。システムの開発元や国家の情報機関などが、ひそかにユーザーの監視や情報の詐取などを行なうため、製品の開発時などにあらかじめバックドアを設ける場合もある。そのようなケースではユーザー側での対策は困難である。
バックドアとは、裏口、勝手口という意味。バックドアはユーザーの知らない間に秘密裏に仕込まれ、その存在によりユーザーに気付かれないよう遠隔操作を可能とする。システムの開発元や国家の情報機関などが、ひそかにユーザーの監視や情報の詐取などを行なうため、製品の開発時などにあらかじめバックドアを設ける場合もある。そのようなケースではユーザー側での対策は困難である。
ファーウェイの反論
インタビューに答えるファーウェイの会長。ファーウェイ側はバックドアを設けることはないし、中国政府から情報の提供を求められたことはなく、求められても応じないと言います。
また、ファーウェイはホームページ上でアメリカの調査会社の調査方法には問題があり、ファーウェイの製品の弱点とはいえないと反論しています。
ドイツをめぐる米中の駆け引き
ドイツは中国と経済的に非常に密接な関係を結んできました。通信機器についても同様です。
そこでアメリカはドイツにファーウェイの通信機器を導入しないよう要請します。
アメリカの進言にドイツもファーウェイの製品への不信感を募らせ、公聴会でファーウェイにバックドアによる中国政府への情報提供について問いただします。
しかし、ファーウェイ側は単に通信の設備だけを提供しているだけでそのデータまで入手することはできないと言います。
また、国家情報法第7条は国外でも適用されるのではと問いただされるとわれわれ(ファーウェイ)はドイツの法律に縛られていると主張します。これは明らかに矛盾です。
こうした動きを受け、ファーウェイの5Gを使ったスマートシティ構想に乗ろうとしていたドイツのある郊外の都市が計画していた政策の風向きが怪しくなりました。
その都市に中国の駐ドイツ大使がやってきて、市民に対し、ファーウェイと中国政府とは関係がないと訴えるのです。
しかし、裏返せば大使がやってくること自体がファーウェイと政府に繋がりがあることを証明しているのでは?と思わざるを得ません。これまた矛盾を感じさせるのです。
そして大使は主張します「アメリカは中国企業の成功を許せないのだ」と。これは一理あるでしょう。アメリカ、中国、どちらかが主張することが100%正しいなんてことはありえないと思います。
都市の面々とファーウェイの面々は船上で極秘会談をもちます。そこは取材お断り。ファーウェイ側から新たな投資案件が提示されたといいます。
これはどこにでもありそうな話です。商売をやっていれば引き留めのために有利な条件で提案を出していくというのは洋の東西を問いません。
しかし、恐ろしきはその後。中国大使は、ドイツがファーウェイ排除につながる決定をした場合、中国政府は黙って見過ごすわけにはいかないと警告を発したといいます。これは明らかに脅迫です。
さすがこの辺が中国共産党独裁国家の恐ろしいところです。
世界はアメリカと中国に二分されていく
ファーウェイの5G製品は旧東欧諸国、アフリカなどを中心に攻勢が続いています。
ファーウェイ創業者の娘を拘束したカナダでさえ、導入を予定しています。あるいは交渉に利用されたのかもしれません。
さらにファーウェイは敵対国のお膝元、アメリカ国内でも特定の国会議員にロビー活動を行い、信用回復のために働きかけています。
その目的は、アメリカ国内に設置済のファーウェイの機器を強制的に廃棄、交換させる法案を否決に追い込むことです。
そして、アメリカも一枚岩ではありません。アメリカ国内でもファーウェイ排除に対し反発が出ているのです。ファーウェイは反中国のために単に政治利用されているだけだと主張します。
予算の少ない地方にインターネットを普及させることができたのはファーウェイのおかげだと感謝している人もいるのです。ファーウェイのおかげでデジタルデバイド(デジタル格差)の発生を防ぐことができたのだと評価しています。
はてさて日本は?そして世界は?
ところで日本は?
日本は実質的にアメリカの属国であり、アメリカの右へならえの思考停止状態ですから当然、ファーウェイ製品は排除の方針です。
世界的にはどうなのでしょうか。ハーバード大のアリソン教授によれば、中国は早晩、アメリカをも追い抜く存在となるが、独裁的な社会主義であり、アメリカなどの民主主義国家とは相容れないと主張します。
監視カメラの使用に対する考えかたが典型ではないでしょうか。中国など、独裁主義国家では監視カメラは犯罪防止というのは建前で、真の目的は市民の監視であることは明らかです。
民主主義国家は曲がりなりにも言論の自由があり、市民の監視を目的として監視カメラを設置しているのではないと思います。(実態不明。そう信じたい。)
それにしてもファーウェイをめぐる動きは米中覇権戦争の象徴ともいえ、今後の動向に目が離せません。
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