証券会社だけではない、銀行にも手数料無料化の波が押し寄せる

砂漠



もはや投資信託の買付に手数料を払う人のほうが珍しくなってきたといっても過言ではないでしょう。株式の売買手数料もほとんどタダ同然になってまいりました。



銀行の手数料アップはやがて行き詰る


もはや株や投資信託を買うのに高い手数料を払うのはよほどの情報弱者か、高齢者か、人に任せたい(お金持ちor自分に自信がない)人だけでしょう。

ネット証券を中心に手数料ゼロの波が一気に押し寄せ、証券各社は戦々恐々の状態です。

一方の銀行はATM手数料や振込手数料の値上げを打ち出すところが多くなっています。

なにしろ超低金利で利ざやが小さいうえに貸出が伸びない。やむなく諸々の手数料で応分のコスト負担を顧客に求めるという構図になっています。

しかし、この殿様商売も、新技術の台頭と外資(黒船)の来訪で早々に行き詰まりを迎えることになりそうです。

外貨送金サービスに黒船到来


その一つが外国への送金手数料です。

既存の銀行ではネット銀行でさえ、3千円程度の手数料がかかるところですが、フィンテックを活用したイギリスの新興銀行が日本でも今年(2020年)前半に送金、両替サービスを開始する予定です。

すでに海外では1千万人以上の利用者がおり、その恩恵を受けています。

日本では銀行としてではなく、100万円までの送金を取り扱う資金移動業(※)として営業を開始する方針です。

イギリス国内でのサービスでは月5千ポンド(70万円程度)までの外貨送金や両替が無料で、しかも数分で相手に届くという驚異のスピードです。

有料の定額課金サービスを利用すれば金額の上限もなくなるということです。

イギリスでは若者を中心に国民の1割以上がこういった新興のフィンテック銀行をメインバンクにしており、この流れは今後も加速していくことは間違いありません。

(※)資金移動業
銀行等以外の業者が100万円以下の為替取引を行うことをいいます。資金移動業を営むには、「資金決済に関する法律」に基づき、事前に登録を受けなければなりません。資金移動業者の登録状況は金融庁のWEBサイトで確認できます。


金融業界の世界的潮流


IT産業を中心とした産業構造の変化は世界的であり、大量の資金需要を生む重厚長大産業は時代遅れになりつつあります。

資金需要の減退にともなう世界的な金利低下、そしてそれにともなって生まれた彷徨うマネーが株高を生んでいるというのが今の姿です。(いささか危うくなってきましたが・・・)

いくら中央銀行が市中から債券を買い取ってマネーを供給しても、それを借りたい人はごくわずかなのです。

最後の借り手として、政府が財政出動するしかありませんが、日本をみればわかるとおり政府に本気は見えません。

経済のパイは次第に縮小し、富は一極集中し、格差拡大。この流れにノーを突き付けたのが、トランプ大統領やイギリスのEU離脱です。しかし、完全に流れが変わったわけではありません。今はカオスです。

規制緩和はデフレ脱却のブレーキ


そして、既存の銀行は本業である貸出業務のV字回復を望むべくもなく、過去の遺産で当面食いつなぐしかありません。

金融業界への異業種参入を促すため、資金移動業の送金限度額の引き上げという規制緩和も検討されています。

世界に遅れをとってはならぬという強迫観念がなせる技ですが、デフレ脱却には規制緩和はマイナス要因です。規制緩和はデフレを克服してから行うべきなのですが・・・。

今回もまた、政府は誤った経済政策を推し進めようとしています。

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