デイトレーダーにも高齢化が進む?大いなる疑問

2020年2月5日の日経新聞のマーケット欄に「老いるデイトレーダー」という記事が載っていました。
インターネットの普及と手数料自由化のダブルメリットを生かして登場した新たなる投資家「デイトレーダー」にも高齢化の波が押し寄せているというのです。
デイトレーダー高齢化の根拠
高齢化の根拠はいま一つ薄弱です。
証券会社における普通預金ともいえ、待機資金を滞留させるMRF(マネー・リザーブ・ファンド)の残高が積み上がっており、株価下落局面でもMRFの残高は減らず、個人投資家は眠っているかのようだというものです。
MRFの資金が動かないのは投資家が今の相場に疑心暗鬼で、警戒感を強めているだけであり、高齢化とはまったく関係がないことだと思いますが、記事ではそれを無理やりこじつけており、論理の飛躍です。
また、もう一つの根拠として示されているのが、大手ネット証券の一つである松井証券の年代別売買代金です。
20、30歳代: 7%
40歳代 :13%
50歳代 :18%
60歳代 :23%
70歳以上 :39%
40歳代 :13%
50歳代 :18%
60歳代 :23%
70歳以上 :39%
となっております。確かに60歳以上で約6割以上を占めており高齢化が進んでいるように思えますが、あくまでも松井証券単独での数字です。
松井証券がただ単に若い世代に人気がないという可能性は十分に考えられることです。
現に松井証券のネット証券業界における売買代金シェアは、2000年代前半ではSBI証券とほぼ同等、楽天証券を上回っていましたが、いまや楽天証券にも大きく水をあけられ、SBI証券は背中が見えないほどに成長してしまいました。
ネット証券が生まれてまだまだ20年余り。その顧客層が高齢化して取引が減少しているとはとても思えません。
株式売買代金の長期推移
現に東証1部の1日当たり平均売買代金の年次別推移は以下のようになっており、確かに2019年は減少しているとはいえ、悪夢の民主党政権時の2倍程度を維持しています。(単位:100万円)

そして、驚くべきはバブル期をも大きく上回っていること。ネット証券の台頭と、昨今の高速取引の影響であると推察します。
ところで、日経新聞の記事ではデイトレーダーが株式市場の流動性を保ってきたと書かれています。そういった一面はあるでしょうが過大評価だと思えてなりません。
デイトレードの異常性
パソコンにかじりついてデイトレードで儲けようなんて、むしろ異常な世界であり、それがないと株式市場が成立しないなんてことはありえません。
無論例外的に、類まれなる才能と努力で成功している人がいるのも事実ですが、ほんの、ほんのごく一部でしょう。
お金を借りて株を買う信用取引などというものは、こう言ってはなんですが、証券会社を儲けさせるだけの手法だと思えます。
そして結局のところ、市場から退場を命ぜられる悲しき投資家を生み出すベルトコンベアーなのです。
FXや仮想通貨など、株式のほかにも値動きのある金融商品が登場して、顧客が奪われている側面はあるとはいえ、デイトレーダーなどがいなくとも株式市場は依然として存在価値の大きい魅力的な存在なのだと確信するのであります。
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