証券会社の総合商社化、ベンチャーキャピタル化が進行中

チェス

デスバイAmazon、アマゾンによって死に至らされるといった意味です。

街の本屋はすっかりと少なくなりました。本屋を見ると本当に希少価値を感じるのが昨今の姿です。

まさにこれと同じことが証券業界におきつつあります。そうはならじと大手証券会社は既存のビジネスモデルから脱却しようとしています。






縮小する売買委託手数料市場のパイ


日本証券業協会の調査によれば、2018年の株式売買の委託手数料は全社で5,130億円となっています。

手数料の額は自由化となった1999年に比べて7割近くも減少しています。

1999年が多かったのか?と問われれば、その時点でもバブル崩壊による株価の低迷により、かなり少なくなっていました。にもかからず、さらにそこから7割近く減少してしまったのです。

もはや証券会社の収益構造は完全に変わりつつあります。(というか変わらざると得ない)

手数料の自由化とインターネットの常時接続が普及し始めた時期と重なったことが従来型の証券会社にとっては不運でした。

手数料が自由化されなければ、いくら便利でもインターネット取引はこれほどまでに普及しなかっただろうし、インターネットがなければ自由化されても大して値下がりはしなかっただろうからです。

大手証券会社は他の収益元を探す


資金力と人材に恵まれている大手証券会社はいち早く、新たな収益源を求めて彷徨い始めました。

具体的には自己資金で企業に出資し、投資先での資金調達や他の企業との提携などを支援するといったビジネスモデルです。大型の案件であれば、他の金融機関や年金基金などからの出資も募ることもあります。

こういった案件探しのための拠点として、全国に散らばる支店網を活用する方針です。支店の営業マンや管理者が案件を発掘し、専門的知識を持つ本部と連携しながら業務を進めていくものと思われます。

ノウハウが蓄積されれば、社内でそれを共有することで好循環の連鎖が回り始めるというわけです。あわよくば投資先を上場させることで大きなキャピタルゲインを得ることも当然視野に入れているはずです。

事業モデルとしてはもはや証券会社というよりも、総合商社あるいはベンチャーキャピタルに近いものです。

ミイラ取りがミイラに?ネット証券も・・・


収益源の多様化は対面型の証券会社にとどまりません。

SBI証券を抱えるSBIホールディングスはマイナス金利で苦しむ地方銀行へ出資してSBI連合に組み込んで、SBIグループが提供する金融商品を提供していく方針を打ち出し、すでに数行の地銀に出資しています。また、SBIグループは高齢化にともなう事業承継問題を抱える中小企業などに出資するファンドを設立しています。

そのほか、マネックス証券を傘下に持つ、マネックスグループもファンドビジネスを始める予定です。

ネット証券はここ20年で対面型の証券会社をおおいに苦しめてきましたが、ここに来て、スマホを活用したスマホ証券ともいえる新興勢力がさらなる価格破壊を仕掛けており、ネット証券の手数料ですら、割高感が出ているという異常事態です。

貧すれば鈍す。苦しい中堅以下の証券会社


もっとも苦しいのは対面型の営業を中心とする中堅以下の証券会社です。

大手証券ほどの資金力や人材力もなく、収益の多様化が進んでいない中で、基幹ビジネスである手数料収入がますます減少していくのが必至だからです。

弱者の戦略として、「ランチェスター戦略」をとらざるを得ませんが、肝心のコアビジネスのパイが確実に少なくなっていくのですから気の毒です。もはや時代遅れのビジネスモデルといわざるを得ません。

今後、どのような生き残り策を見い出すことができるのか・・・。各社のアイデアと実行力が試されています。

証券会社の従業員数の推移


以下は証券会社の従業員数の推移を示しています。

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見事なまでに株価との相関があることがわかります。そして、従業員数は株価の遅行指標であるといえます。

今後、この人数は増えることはないだろうと思いますし、人材も営業主体から専門職やシステムエンジニアなどの比率が高まることは間違いないものと思います。

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