順調に見えたインド経済に暗雲。金融不安が経済成長の足枷に

インド



確かに最近のインドでクルマが売れなくなっていることは知っていました。しかし、それは一時的かつ局所的な事象であって、インド経済全体に大きな変化が起きているとは思っていなかったのですが・・・。ここに来て、インド経済に暗雲が立ちこめてきています。



インドでの自動車販売落ち込み


日経新聞の報道によれば、ホンダ(7267)のインド市場における販売は昨年から前年比で4割減が続いているといいます。

2018年以降、インドの自動車販売店は売上げ不振で300件近く廃業した模様です。成長市場なのに大量の廃業とはいささか尋常ではありません。

クルマが売れない理由


クルマが売れない理由はなんといっても、個人顧客にローンでお金を貸してくれなくなったことです。

ノンバンクが資金繰りに窮しており、貸出余力が低下しているのが要因です。

ノンバンクの資金繰り困窮の要因


ではなぜ、ノンバンクの資金繰りが悪化しているのでしょうか。

2018年、インドのノンバンク大手が債務不履行に陥りました。これが発端となり、金融当局や銀行がノンバンクに対し、警戒感を強めています。

急に銀行からの融資が絞られ資金繰りが厳しくなっています。

でも悪いのはノンバンクだけではありませんでした。

銀行の不良債権が増加中


そもそも、ノンバンクに融資をしている銀行もその審査がずさんであり、不良債権が増加しているといいます。

日経新聞が独自に定義した不良債権予備軍(営業利益で負債の支払利息をまかなえない状態が3年以上続いている企業)の比率はインド上場企業の約2割にも達すると分析しています。

これってなかなかの数字です。なにしろ稼いだ金額で借金の利息すら払えない企業が10社に2社あるってことなのですから。

同基準で算出した世界平均は約4%で、インドは突出して高い比率となっています。

銀行のずさんな融資の遠因は・・・


2016年末、インドのモディ首相は高額紙幣を2種類廃止しました。

その目的は麻薬など非合法な手段で稼いだお金をあぶり出すためです。一定期間に高額紙幣を新紙幣に交換しないとタダの紙くずにしてしまうという強硬策です。

ところが、紙くずになってはかなわないとタンス預金されていた高額紙幣が一気に銀行に流れ込みました。

突然お金が余った銀行は貸出先を探します。そして、その貸出先が規制の緩いノンバンクだったのです。

ノンバンクはろくに審査もせずにせっせとお金をローンで貸し出しますが、当然のごとく回収不能の雨あられ。あえなく倒産する会社が出てきたというわけです。

銀行とノンバンクは一連托生。金余りでバブル経済に沸いた日本と似たような構図が高額紙幣の廃止によってもたらされてしまいました。

今後の動向予想(希望的観測)


金余り → ずさんな融資 → 回収不能で倒産 → 途端に貸し渋り

となっているのが現在のインドのノンバンクあるいは銀行の姿です。不良債権問題は実体経済にも影響を及ぼしており、経済成長率は4%程度に落ち込みそうです。

しかし、インドは新型コロナウィルスの被害も少ないですし、なにしろ国民の平均年齢が若い。

賢明な政策転換が図られれば、再び高成長軌道に戻るというのが勝手な個人的見解なのです。そして、その根拠は?

インドの自動車市場で圧倒的シェアをもつ、スズキ(7269)の株価が昨年夏を底に下げ止まり、案外しっかりとしていることなのです・・・。

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