野村証券、ネット証券に逆襲をかける

昨年末からネット証券の株式売買委託手数料の無料化が次々発表され、証券業界を騒がせています。そんな中、証券業界のガリバー、野村証券がネット証券に反撃の狼煙を上げました。
信用取引の手数料無料化が先行して進む
ネット証券において、とりわけ先行して手数料無料化となるのはお金を借りて株を買う信用取引にかかる売買委託手数料です。
auカブコム証券は金額にかかわらず無料。松井証券は一定金額まで無料。SBI証券、楽天証券は大口取引は無料などと各社微妙に異なりますが、無料での取引があることに変わりありません。
とりわけ驚くのはauカブコム証券です。オールゼロなのですから。
手数料無料化の代替収益源は?
その代わりの収益源は、貸したお金につく金利です。手数料は無料ですが、貸したお金で顧客が株を持ち続けている間は金利収入で稼ぐというビジネスモデルです。
各社さまざまな金利コースを設定していますが、概ね年率2%前後というのが相場となっています。
それにしても手数料無料化は他の証券会社に激震をもたらしたと推測します。そして、今度は証券業界の巨象、野村証券がネット証券の信用取引のビジネスモデルに挑戦状を叩きつけました。
ガリバー、野村証券の逆襲
野村証券はインターネットを利用した信用取引の融資金利を年3%から一気に0.5%に引き下げることを発表しました。これは業界最低水準の低金利です。
その代わり、売買委託手数料は無料にはしません。
金利をとるか、手数料をとるか、顧客に迫ったわけなのです。そして、既存ネット証券のビジネスモデルに挑戦状を叩きつけたのです。
手数料を無料化した上に、金利も下げれば、もはやネット証券の食い扶ちは無くなってしまうのですから、死活問題なのです。株式の売買手数料を無料にした場合、ネット証券でさえ、SBI証券以外は赤字になる可能性が高いといわれています。
証券業界の仁義なき闘争。この争いはまだまだ収まりそうもなく、血を血で洗うような情け容赦なき我慢比べに突入しています。
さらに投資信託の信託報酬をゼロに!
野村証券はさらに日本で初めて、信託報酬をゼロとする投資信託を設定すると発表しました。
海外株式に投資する、つみたてNISA専用商品ということで、誰もが気軽に投資できるファンドではありませんが、今後、横に広がっていく可能性は十分です。
当初10年間はまったくのゼロで11年目以降は0.11%以内で再設定する模様です。野村ホールディングスは、傘下に販売会社である野村証券、運用を行う野村アセットマネジメント、資産管理を行う野村信託銀行を抱えているため、このような大胆な戦術を取ることが可能だったのです。
他の会社はおいそれと真似できるものではありません。野村証券としては、損して得をとるという戦略のもとでの対応であろうと思われます。
おまけ(私見)
SBIホールディングスの北尾代表はもともと野村証券出身。野村証券の社長候補の一人であったエリート社員でした。ところが、ソフトバンクの孫さんに請われてソフトバンクへ転身したのです。
勝手な憶測ですが、北尾代表はSBIを野村よりも巨大化させたいという野望を持っていると思うのです。
現状、野村ホールディングスの営業収益は2兆円弱。それに対し、SBIホールディングスは4,000億円弱。まだまだ差は大きいですが、株式市場における存在感はもはや野村を大きく上回りました。
成長性は明らかにSBIに分がありますから、いずれ逆転する日が来るかもしれません。そうなればまさに下克上です。
それを防ごうとする野村。野村対SBIのガチンコ勝負にも目が離せないのであります。
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