大規模経済対策を行わなければ起こるであろうこと

WHOがようやくパンデミック宣言をしたとか。株価暴落、円高進展と逆資産効果が進展している中、このまま日本政府が事態を甘く見て手ぬるい対応をすると今後どうなるのか。
起こりうる事態を想定してみました。
企業動向について
― 倒産企業の爆発的増加
とにかく経済活動の縮小が著しくなっています。宴会やコンサート、スポーツイベントなどはことごとく中止や延期。
当てにしていた売上が入らず、資金繰りに行き詰って倒産してしまう企業が今後ますます増加していくことになります。
― 企業業績の急激な悪化
ただでさえ、2020年3月期は減益予想だったのに、このような事態になってさらに減益率が大きくなることは必至です。
倒産にまで至らないとしても、多く(ほとんど)の企業が大幅な減益に陥ることは間違いありません。
― 弱小金融機関の破綻と経営統合加速
金融機関はマイナス金利で利ざやが稼げず、企業の設備投資意欲は超減退していますから、貸出も増えません。保有債券の益出しも限界に近づき、株やJリートの含み益も吹っ飛びました。
貸し倒れも増加するでしょうから、当然、体力のない金融機関は経営破綻の恐れが出てきます。また、そうなる前に経営統合してなんとか生き残りを図る金融機関が増えることは間違いありません。
証券会社にしても、ここ数か月の手数料無料化の波に加えた相場下落で泣きっ面に蜂です。同じく破綻する会社が出る可能性が高く、統合も進むでしょう。
金融市場について
― 株価のさらなる暴落と円高の進展
業績が悪化すれば株価が下がるのもまた必然。新型コロナウィルスが騒ぎだされたころは円安に振れましたが、やはり有事の円高とばかりに円が買われています。
今後100円を割る円高が進めば、輸出企業の業績は想定以上に悪くなりそうです。
― Jリートのさらなる下落
ホテル型やオフィス型はいうに及ばず、商業施設型も期待できません。なにしろ人が集まるところにあえて飛び込んでいく人が減っています。
レジデンス型やヘルスケア型、物流施設型などは比較的景気後退に強いとはいえ、今回の景気の冷え込みはそのような耐性をもぶち破りそうな勢いです。
労働市場について
― 有効求人倍率の低下と失業率上昇
すでにその兆候は見え始めています。企業は人を新たに雇う余裕などなくなりつつあります。
今いる人を食べさせるだけで精一杯なのです。それすらできない企業も多くなりますから、業績悪化による解雇が増加していくでしょう。
当然、失業率は上昇し、仕事はなかなか見つからなくなります。超売り手市場であった若年層についても今後、市場は冷え込んでくることは間違いありません。
― 派遣社員の雇止め増加
働き方改革による同一労働同一賃金という考え方からただでさえ、4月から派遣社員への風当たりは強くなります。そこにきて、さらなる逆風です。
当然派遣切りが増加することは明らかです。切られてしまった社員の新たな派遣先を見つけるのも今までより困難となると思います。
― ダブルワーク、トリプルワークの増加
ギグワーカーなどという究極の自己責任的働き方が増加しているようです。クラウドソーシングなどによる副業も増えています。
何しろ残業規制で賃金は減るし、生活は苦しくなるしで、副業をしないと生きていけない人が増えているのです。
まさにアメリカ化がどんどん進展し、冷たい自己責任社会が浸透してきています。
社会の変化
― 自殺者数の反転増加
安倍政権発足後、年間の自殺者数は3万人台から2万人台へと減少しました。
雇用環境がよくなったことがその要因だと思われますが、歯車は逆転し始めています。当然、自殺者数も再び増加に転じることになるはずです。いやな世の中です。
― 格差拡大とさらなる少子化
失業率が上がれば当然格差が拡大します。全体的にも給与水準が下がり、婚姻率が低下するはずです。結婚する人が減れば少子化が加速するのは自明の理です。
昨年は統計を取り始めてから最低の出生人数を記録しました。今年はそれをさらに更新する可能性が高いと考えます。
― 平均寿命の短命化
格差拡大は受けられる医療格差の拡大にもつながります。いまのところ日本は国民皆保険であり、アメリカのような冷たい社会ではありません。
しかし、今後高齢者の自己負担率が増加も想定されているようです。また格差拡大により保険を使えるといっても医療機関にかからない人が多くなるでしょう。
当然、早期に発見できていれば助かったであろう病気が見つからないといったケースが増えてしまうと思います。
社会が荒んでくるとアルコール中毒による死者も増えます。
現にアメリカでは薬物やアルコールによる死亡者や自殺者が増加しています。そして、平均寿命はピークアウトして短命化していることに注目しなければなりません。
世界の動向
― EUからの離脱国の増加
イギリスはEUから離脱しました。EUはドイツやフランスなどの強国もあればギリシャのような貧しい国もあり、統一的な運営はそもそも無理があります。
統一通貨ユーロも同様です。弱小国がいるおかげで、必要以上にユーロは弱くなり、ドイツは不当に輸出で利益を稼ぐことができます。
そのような理不尽さに耐えかねて、イギリスに続けとばかりにEU離脱を目指す国が出てくると想定します。
― 債務不履行による中国の属国化国増加
中国はインフラ整備を餌に、輸出で稼いだお金を発展途上国に高利で貸し付けて港湾施設などの建設を進めてきました。
しかし、世界的不況に陥れば、発展途上国は借りたお金が返せない、金利が払えないといった事態が起こってきます。それならば、作った港は中国が100年間は使わせてもらうなどということになってしまうのです。
そして、中国の権益が強化され、その国はまるで中国の属国と化してしまうのです。
日本もまた例外ではありません。真偽のほどは定かではありませんが、2050年あたりには日本はなくなっていると中国の高官が発言したとか。中華思想により日本も中国の属国となる可能性は十分にあります。
政府は来月にも経済対策をまとめるとの報道もなされておりますが、家計に現金配るとかというなんとも効果のなさそうな対策が検討されているようです。
貯蓄に回されたら何の意味もありません。
お金がダイナミックに動く経済対策を行わなければ上記のようなことが起こってくることは間違いありません。
しかしながら、安倍首相や麻生財務大臣の発表は大本営発表のようであり、危機感のかけらくらいしか感じられず、過剰な期待はできそうもありません。
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