金融庁への忖度と金利低下で外貨建保険も販売減

苦情が相次いでいることから問題となっている外貨建ての保険。主に銀行などが販売していますが、ここに来てその販売額が減少しつつあります。
金融庁幹部のありがたいお言葉
日経新聞の報道によれば、2月下旬、金融庁幹部は生命保険会社の経営陣との意見交換の中で、
「代理店に対する適切な管理が行えないのであれば、外貨建て保険の販売を行うべきではない」
と述べたとか。
金融庁がやり玉に挙げているのは銀行窓販のみです。なにしろ外貨建ての保険販売の多くを金融機関が担っていますし、その中で顧客が保険と預金との区別がついておらず、あいまいな理解のまま保険が販売されている事例が多発しているというのです。
後で保険証券なりが送られてきて初めて保険であったことに気が付くようなケースです。
昨年来この問題は提起されており、今般、新たな販売資格まで創設するという事態になったことは各種報道のとおりです。
足元の販売減少の状況とその要因
このような逆風を受けて銀行窓販における外貨建て保険の販売額は昨年に比べ、2割以上減少しています。
その理由は2つ考えられます。
・金融庁の締め付けが厳しくなっていることを金融機関は察知しているため、先回りして販売を自粛していること
・世界的にも金利が低下しており、外貨建て商品の金利も魅力が低下したこと
・世界的にも金利が低下しており、外貨建て商品の金利も魅力が低下したこと
です。
この2つの理由が絡んでいるわけですが金融機関によってその比率は大きく異なるものと推察します。
金融業界の動向
あるメガバンクでは昨年(2019年)秋以降、外貨建て保険の販売比率が5割を下回り、12月には3割を割り込んだとのことです。
その代わりに売れているのは円建ての保険です。
外貨建て保険は総じて販売手数料が高く、いわゆる「儲かる」商品のため、銀行などは積極的に販売を推進してきたわけですが、金融庁の意向をくみ取って、販売に対する評価基準を変えていることがその要因です。
具体的には販売手数料で評価するのではなく、販売額で評価するということです。
評価の方法で人間の行動パターンは大きく変わってしまうのです。しがないサラリーマンならばやむを得ない側面はあります。 いわゆる「社畜」です。
私見
しかしこれって、今までいかに金融機関がご都合主義で顧客を利用してきたのかを如実に示しているのではないでしょうか。
お客様のためなどという嘘八百の標語を並べつつ、実際にやっているのは金融庁への忖度。いかにお咎めを受けないようにするかという自己保身のみ。
そこには顧客重視の視点はまるで見えないのであります。
そのような金融機関は、現代のような高度に情報が共有化される社会では存在価値が否定され、生き残れないこととなるに違いありません。
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