MMTでは社会から拒否反応。新ケインズ主義とでも言いなおせば・・・

株価が下げ止まりません。それ以上に悲惨なのはJリート市場です。2月の高値から一気に雪崩のように4割近く滑り落ちてしまいました。
おかげで予想分配金利回りは上昇していますが、あくまでも予想。今後、予想分配金を引き下げてくることを市場は先読みしているものと思われます。
それにしてもなんとか景気の底割れはしないでもらいたいものです(しつつありますが・・・)。
それにはなにかしらの強烈な対策が必要になります。その一つの方策はMMT(現代貨幣理論)だと思います。しかし、一時期マスメディアを賑わしたMMTはすっかりなりを潜めてしまい、その存在感を失ってしまいました。
注目を浴びた時期には、アンチMMT派からトンデモ経済理論扱いされることも多く、麻生財務大臣からも日本をMMTの実験台にするつもりはないと言われるほどの存在感があったのですが・・・。
(もっとも麻生大臣がMMTの内容を理解しているとは到底思えないのではあります。)
ケインズ経済学よ、再び
ところで最近、かの有名な経済学者、ジョン・メイナード・ケインズが遺した偉大な経済理論、「雇用・利子および貨幣の一般理論」を読んでみたのです。(恥ずかしながらマンガ・・・)
ケインズが主張していたことはおぼろげに理解していたのですが、改めて確認してみたくなったのです。
私は経済学者ではありませんので、仔細なことまで理解することはできませんが、そこに書かれていたことはMMTの考え方とほぼ同じといってよいものでした。
端的にまとめてみればケインズの主張は以下のようなものです。
・自由放任主義の経済運営では不況からの脱出はできない。
・不況から脱出するには、金融の緩和と政府による財政出動が必要である。
・不況から脱出するには、金融の緩和と政府による財政出動が必要である。
夜警国家ともいわれる自由放任的な経済運営が世に大不況と大量の失業者を生み出し、彼らを救うことができない。
そんな自由主義に業を煮やして生み出されたのが「雇用・利子および貨幣の一般理論」だったのです。
それは世界恐慌真っ只中の出来事でした。
ケインズの経済理論の実践
第二次世界大戦後、アメリカなどがケインズの経済学に基づいた経済政策を推し進め、1960年代の隆盛の源泉となりました。
金融緩和による設備投資の増大と、それに基づく消費と所得の増加という正のスパイラルです。
政府による財政支出による追い風も吹かせ、経済は大いに潤ったのです。
ところがその後、インフレと不況が同時進行するスタグフレーションが起こり、ケインズの経済理論をもってしても、スタグフレーションからの脱却が困難であることから、再び自由主義的経済理論が勢力を強めることになります。
新自由主義の台頭
それがいわゆる今日まで続いてきた新自由主義です。自由競争や規制緩和を是とし、何事も市場に任せておけばすべてうまくいくという市場原理主義的な考え方です。
しかし、この新自由主義が今、再び行き詰まりを見せているのは、アメリカのトランプ大統領の登場やイギリスのEU離脱を見れば明らかです。
とりわけ日本はバブル崩壊でデフレに苦しんでいたにもかかわらず、世界の新自由主義の波に飲み込まれ、デフレ脱却政策とは真逆の政策を数多く行ったことはまさに自殺的な悲劇としか言いようがありません。
そして、日本を追うように世界経済は再びおかしくなってきました。今こそ新自由主義からの移行を図るべきときだと思えるのです。
MMTには期待していたが・・・
そして、その代替策はMMTとなるはずだったのですが・・・。「MMT」という言葉の響きがよろしくない。なにやら怪しげな、突拍子もない経済理論のように捉えられてしまいがちなのです。
MMTなどとプロレス技のようなネーミングではなく、「新ケインズ主義」とでも言われれば受け入れられやすくなると思うのです。
早く新自由主義から新ケインズ主義へ移行しないと、世界は世界恐慌への道を歩み始めるかもしれません。
【関連記事】
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