資本論から読み解く株主資本主義

本



マルクスが書いたかの有名な「資本論」を読んだのであります。(恥ずかしながらマンガ)

そこには資本主義の矛盾や問題点、欠陥などがるる指摘されていたのです。



資本主義の問題は現代の株主資本主義に通ず


資本論を読んで感じたのは、現代社会(とりわけアメリカ)で広がった株主至上主義との類似性です。

会社は株主(資本家)のものという考え方をベースとし、人間は持てる者と持たざる者に分断され、富の格差が爆発的に広がっていく社会です。

株主や経営者にばかり利益が分配され、労働者には分配されないという「冷たい資本主義」です。

日本に目を向ければ・・・


アメリカほどではないにせよ、日本の上場株式の多くはもはや外国人投資家が保有している以上、今後、日本経済のアメリカ化が進んでいく可能性も十分にあります。

現に1995年あたりから外国人投資家の持株がどんどん増えており、現状、約3割が外国人投資家の保有となっています。

以下は日本のジニ係数(※)を表しています。

20200324kakusa.jpg
(出所:社会実情データ図録)

青のラインは純粋な所得によるジニ係数を示しています。バブル崩壊後は明らかに右肩上がりとなり、所得格差が広がっています。

赤のラインは税金や社会保障で調整された後のジニ係数を示しています。

日本はそれでも社会的な再分配により、所得格差の拡大をなんとか食い止めているのが見て取れます。

(※)ジニ係数
所得などの分布の均等度合を示す指標。ジニ係数の値は0から1の間をとり、係数が0に近づくほど所得格差が小さく、1に近づくほど所得格差が拡大していることを示す。一般に0.5を超えると所得格差がかなり高い状態といわれる。


非上場企業の存在価値


日本の株式市場に上場している企業は約4,000社弱あまり。「上場」はある種のステータスでもあります。

しかし、すべての株式会社が上場企業になってしまったら?「会社は株主のもの」という考え方が支配的になることは間違いありません。

多額の資産をもつ労働者は株式投資により株主資本主義の恩恵を被ることができるでしょう。しかし、一般庶民は給料も増えず、生活は苦しくなるばかりといった社会がさらに進展していくことになります。

そんな株主至上主義の考え方に歯止めをかけるのは「非上場企業」の存在です。多額の利益を上げて、税金でもっていかれるくらいなら、社員に給料をたくさん払ったほうが良いと考えられるような企業です。

そのような企業が存在することで社会はなんとかバランスを保つことができます。いわばバランサーの役割を果たしてくれているのです。

しかし、結局は資本主義しかない


資本主義を否定して生まれた共産主義。自由競争のない計画経済。そこでは人々は中産階級として幸せな生活ができるはずでした。

しかし、東ドイツやソ連の崩壊を見ればわかるように、社会は腐敗し、産業競争力をなくして、結局は資本主義に駆逐されました。

資本主義には数多くの問題点があるとはいえ、その代替手段は今のところ見つかっていません。

資本論で描かれたような悲惨な資本主義とならないよう、資本主義を微調整して前に進んでいく「修正資本主義」しか解がないというのが個人的な見解です。

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