働き方改革むなしく、労働生産性の低迷続く

鳴り物入りで始められた「働き方改革」。長時間労働によるメンタル疾患の増加(最悪自殺)を防ぎ、労働生産性も向上すると期待されていたのですが・・・。
国家の労働生産性とは
国家の労働生産性はGDPを労働者数とその労働時間で割ることで求められます。
労働者のスキルが向上したり、機械化やIT化によって業務工程が効率化すれば労働生産性は向上します。
働き方改革の目的が過剰な長時間労働の排除にあるならば、労働時間は労働生産性の向上にかかわらず、減らさざると得ません。労働生産性が向上しないのに労働時間が減れば、GDPが縮小(労働者の所得も減少)することになります。
働き方改革の結果
ここ数年の日本の労働生産性は?働き方改革のおかげかはわかりませんが、4年連続で上昇しています。
しかし、それはあくまでも絶対値。
世界は日本以上に労働生産性を向上させているため、相対的には日本の労働生産性は下落しています。
日本の労働生産性は引き続きG7の中で最下位をひた走るとともに、OECD諸国の平均をも大きく下回るという悲しさです。順位はOECD36か国の中で21位となっています。
主要欧米各国に遅れをとっているのはもちろん、お隣韓国にも抜かれてしまいそうです(というかたぶん抜かれる)。
2015年時点でもOECD平均の87%しかなかったのに、2018年にはなんと83%に下落しています。一生懸命走っているつもりでも、世界はもっと一生懸命(賢明に)頑張っているということです。
なぜ労働生産性が向上しないのか
一言で片づけてしまえばその原因はやはり「デフレ」です。
デフレが常態化しているために安い値段で過剰なサービスを提供することが当たり前になっており、それが労働者を苦しめる一因でもあります。
特にその傾向が顕著に表れているのがサービス業です。卸売りや外食産業、ホテル業などの労働生産性はアメリカに比べると4割程度しかありません。
安くてサービスもいいために今はコロナの影響で少ないとはいえ豊かになった中国から大量の観光客が来たりするのです。もちろん円安の影響もあります。
挙句の果てには中国人に土地まで買い漁られる始末で、このまま衰退していけば日本はいずれ中国の属国となりかねません。
2050年、日本は中国日本自治区になっている可能性もあります。なにしろ中国にはその意図があり、その能力もどんどんと上げてきています。
IT戦略の遅れも要因の一つ
日本はIT利用も遅れています。IT利用の指数で日本はなんとOECD平均をこれまた下回ります。
職場で未だにFAXを使うのは日本くらいなものでしょう。日本も進化してはいますが、これまた各国はそれ以上に進化しているのです。ITの利用がなぜ遅れているのかは複数の要因が考えられます。
・デフレで設備投資意欲が湧かない
・安易に給与水準の安い外国人労働者に頼る
・労働者の高齢化
・日本語だけでは世界のプラットフォーマーにはなれない
・中小企業の生産性が低い
・安易に給与水準の安い外国人労働者に頼る
・労働者の高齢化
・日本語だけでは世界のプラットフォーマーにはなれない
・中小企業の生産性が低い
などです。
少々古いデータですが、以下は製造業における企業規模別の労働生産性を表しています。

(出所:社会実情データ図録)
零細企業の生産性の低さがよくわかります。とりわけ日本と韓国にその傾向が顕著に示されています。これはあくまでも推測の域を出ませんが、韓国の大企業の生産性の高さから見れば、下請け企業へ過酷な値下げ圧力をかけているのではないかという疑念が湧いてきます。
それにしても特異な印象を受けるのはイギリスです。零細企業でも比較的高い生産性を維持しています。これも憶測ですが、イギリスには世界的なメーカーが少なく、下請けいじめが起きにくい環境にあるのではないかと思います。
例えばイギリスの自動車メーカーっていってどこか思い出されるでしょうか。
ジャガーやMINI、アストンマーチンなどがありますが、いずれも世界シェアは小さく、高級感はあれど販売台数は少ないのが実態です。
それにしてもこのままでは日本は衰退していくばかり・・・。国家戦略をきちんと立てて国家運営をしてもらいたいと切にお願いするばかりです。
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