MMT(現代貨幣理論)の無理筋な主張

迷路



たった2%、たった2%のインフレ目標が達成できずに7年がただただ無為に過ぎてしまったのです。

あれほど自信満々に、そしていとも簡単に黒田総裁は2年で達成できるようなことを言っていたと記憶していますが・・・。



リフレでデフレ脱却のはずが・・・


デフレは単なる貨幣現象であり、金融緩和(金バラまく)でなんとかなるというのがいわゆるリフレ派の主張でございました。

そしてそれは、円安、株高をもたらし、ある程度の効果を発揮したのもまた事実です。

しかし、その間2度の消費増税で暖まりつつあった体に冷や水をぶっかけるという愚行を安倍政権は見事にやらかしてくれました。

そして現在、コロナ騒動で世界は闇夜の中を突っ走っており、景気はこれから悪化の一途をたどることになるでしょう。デフレからの脱却など夢のまた夢のような状態です。

民主党政権を悪夢を言ってのけた安倍首相ですが、ミイラ取りがミイラになりそうな今日この頃なのです。

それでもなんとか持ちこたえているのは野党がだらしなさすぎるからとしか言いようがありません。

MMTの無理筋な説明


ところですっかりなりを潜めてしまったMMT(現代貨幣理論)ですが、この経済苦境を乗り越えるのにはMMTの考え方が有効であることを私は今だ信じております。

しかし、MMTの理論を見てみるといくつか???となるようなことが書かれていたりするのです。

その一つは、人々がなぜ円という通貨を後生大事に信頼して使うかという説明です。

MMTによれば、日本人は円でしか税金を支払うことができない、よって円の価値を認め、信頼して使っているのだといった論調です。

円で納税する必要があるから働かなければいけないといった議論が展開されるのです。

しかし、税金を納めているなどといった意識はないであろう小学生も円の価値を疑うことはないし、お小遣いを欲しがります。

税金払わなきゃいけないから、お小遣いほしいなどという子供には会ったことはないし、今後とも会うことはないと自信をもって言えます。ただただゲームが欲しいといった単純な欲望のみが円を欲しがる理由です。

極端な話、日本のサラリーマンはほとんどの人が確定申告などしないでしょうから、税金を納めているといった意識も希薄でしょう。

10%でその都度計算がしやすくなった消費税はともかく、年間でいくら所得税を払っているか仔細に把握している人のほうが少ないのではないでしょうか。

日本のサラリーマンはそういった意味では小学生と知的レベルはなんら変わりません(言い過ぎ・・・)。

だからサラリーマンも税金払うために給料ちょうだいとは言わないと思います。

円の価値を信頼して使うのは皆がそれを信頼して使うから自分も使うという単純な理屈ではないかと思うのですが・・・。

円の価値はなぜ守られる?


そして、円の価値を保つには、日本人が一生懸命働いて、価値あるものを生み出し続けるしかありません。

考えてもみてください。

皆がデイトレーダーで生活できるのなら、どうやって食べものを調達したり、電気を使うことができるのでしょう。

そんなこんなで、MMTには無理筋な論理が時折散りばめられており、それがトンデモ理論じゃないかと足をすくわれる元になっている一因だと思います。

とはいえ、インフレ目標をマクロ経済運営の指標とするというのは至極まっとうな論理だと思うので、それをもっと強調していけば、日本がこのデフレから脱却するための一助となると思うのですが・・・。

結局は打ち上げ花火の一発屋に終わってしまいそうで残念でなりません。

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コメント

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No title

「極端な話、日本のサラリーマンはほとんどの人が確定申告などしないでしょうから、税金を納めているといった意識も希薄でしょう。」
これについてはその通りだと思います。
けど、その税金は、サラリーマンは納めていないわけではなく、雇用主である、企業が支払っています。
そこで、例えば、政府が「これからは税は円ではなく、ドルで徴収します」と変わったらどうなるでしょうか?
そうなれば、もちろん納税するのは企業ですが、その企業の社員の給与自体も円ではなく、ドルで支払うようになると思います。その方が楽ですからね。
三橋さんがいっているのはそういうことだと思います。

Re: No title

税金はインフレ率をコントロールできる有効な手段の一つだということなのでしょう。

その意味において、デフレ下で増税をすることはアクセルとブレーキを間違えて踏んでいるようなものといえます。