イギリスの驚くべき生き残り戦略。同じ島国の日本も学ぶべき

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イギリスは日本と同じ海洋国家。面積も似たようなものです。人口は日本よりも少ないにもかかわらず、巧みな外交で過去、世界の覇権を握るなどその存在感を示してきました。

そこには狡猾なまでの戦略があったのでした。日本も同じ海洋国家としてイギリスの歴史に多いに学ぶ点があると思います。



近代の西欧諸国の人口推移


以下は19世紀から20世紀にかけての西ヨーロッパの人口推移です。あの大英帝国も200年前は人口2,000万人足らずでした。

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同時期の日本は3,000万人程度であり、イギリスを人口では上回っていたわけです。

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(出所:社会実情データ図録)

巧みなイギリス外交


ところで、イギリスが世界の覇権を握ったのはもちろんいち早く産業革命を起こしたことに起因することは間違いありません。

しかし、要因はそれ一つではないのです。そこにはイギリスの巧みな外交戦略が隠されていたのでした。そして、その戦略は島国ならではのものだったのです。

16世紀から19世紀のイギリス外交の肝は、ヨーロッパ大陸で覇権国となりそうな国を叩くという戦略でした。

他国よりも強い海軍力を維持し、ヨーロッパ大陸が一つの大国によって支配されるのを防ぐという基本原則です。

イギリスの具体的戦略


A,B,C,Dという大陸国家があったとき、Aが伸びてくれば、B,C,Dの国に肩入れしてA国を叩くのです。

Bが強くなればA,C,Dと組んでBを叩く。これによりA,B,C,D国を常に分断し、大国が発現するのを防いだのです。

これによって、イギリスは独立を保ちつつ、世界一の海軍で世界の覇権を握ることに見事に成功することとなりました。

日本もイギリス外交戦略の例外ではなかった


日本もイギリスに利用されました。アジアでロシアが勢力を伸ばしてくれば日英同盟を締結し、ロシアを叩いたのです。現に日露戦争で日本を使い、ロシアを叩くことに成功しました。

しかし、日本やドイツが強くなりすぎたと見るや、今度はロシアとフランスと組み、日独を叩くといった戦略に転ずるのです。

一見風見鶏のようですが、したたかな計算にもとづいて他国を利用しながら自国の利益を得るという戦略なのです。

またイギリスだけではありません。第二次世界大戦時、アメリカはソ連、中国の味方であり、日本とドイツは敵国でした。しかし、終戦後はその立場は見事に逆転しています。

昨日の友は今日の敵、またその逆も真であるのが、冷酷な国際外交の真実の姿です。

バランスオブパワーによるリアリズム外交


このような外交をバランスオブパワーに基づいたリアリズム外交といいます。

残念ながら日本にはこのしたたかさはありません。良く言えばお人好し、悪くいえば無策といったところです。

極東アジアにおいては今や中国が圧倒的な覇権を握りつつあります。日本はインドなどと組んで、中国を抑え込まないとやがて中国に飲み込まれてしまう日が来るかもしれません。

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