分散投資の堤防を乗り越えたコロナウイルスによる資産下落

卵は一つの籠に盛ってはならない。資産運用の際によく聞く言葉です。
資産の種類はもちろんのこと、同じカテゴリーに属する資産でも銘柄を分散させることで期待されるリターンを低くすることなく、リスクを小さくできるのが分散投資の効果の肝となります。
これはノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者、ハリー・マーコウィッツの現代ポートフォリオ理論によっても証明されているのですが・・・。
今回の下げに分散効果は効かなかった
2020年3月の新型コロナウイルスによるパンデミック騒動では資産分散効果によるリスク抑制はほとんど働きませんでした。
あらゆる資産が売られ、総崩れ・・・。どんな資産に投資していたとしても多かれ少なかれ損失を被る羽目となりました(空売りをかけていた人は別です)。私も当然その一人なのです。
3月の主だった投資対象の値動きを見てみましょう。
●日経平均株価

●円ドル

●東証リート指数

●原油

●金

●日本国債10年(金利が上がれば債券価格は下がる)

いずれの資産も程度の差こそあれ、下落しています。分散投資をしていたとしても、すべてが正の相関関係となってしまったため、意味がなくなってしまったといえます。円の価値は上がりました(円高)ので、こればかりは例外といえそうですが、外貨建て資産を保有している者にとっては痛手です。
意外だったのはJリートの極端な下げ
一般論でいえば、リスクの程度は、株 → リート → 債券 の順となるのが常識です。
しかし、今回の下げで特徴的だったのはリートが恐ろしいほどに下落したことです。なんと40%以上も値下がりしました。株をも上回る下落は常識を覆すものでした。
要因として考えられることは、あまりの低金利に耐えかねた比較的安全志向の投資家が2019年に一気にJリート市場に入り込んでいたためだろうと思います。そのため、想定外の上げ相場となっていたのです。
しかし、今回の騒動による予想以上の下落が恐怖をあおり、下げが下げを呼んで、市場からの離散もまた激しくなったものと推測します。
金相場の最高値更新は何を意味する?
この混乱の中にあって、金は40年ぶりに最高値を更新したとか。40年前といえば1980年です。これはいったい何を暗示しているのでしょうか。
ちなみに1980年に金が高値をつけた要因として、第二次オイルショックと、旧ソ連のアフガン侵攻により米ソの緊張が高まり、安全資産として金が買われたという背景があります。
そして、最近の金相場の上昇要因は以下のようなものではないかと考えられます。
もともと金はそれ自体がなにかを生み出すものではありません。株式の価値が企業の業績によって左右されたり、リートの価値が不動産価格や賃貸料の多寡で左右されるといった類のものではありません。
工業製品の部材として利用されることもありますが、ごく一部であり、金は金というだけで価値が認められているのです。
相対的に金の価値が上がっているということは将来の企業業績や不動産価格に懸念があることの証左となります。
現在のように、外出禁止が世界的に広がっている以上、2度めの世界恐慌が起こりつつあると考えるのが妥当であろうと思います。
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