りそな銀行の外貨建て保険手数料引下げ要請は美談化しすぎ

低金利にあえぐ銀行業界。その中でいかにも良識ある行動のように報じられていたのが、りそな銀行の外貨建て保険販売時に受け取る手数料の話なのです。
昨今、苦情が多くてなにかと問題になっている外貨で運用する生命保険の話です。
あえて販売手数料を安くしてもらった!?
2020年4月15日付の日経新聞の報道によれば、りそな銀行は、外貨建て保険販売時に保険会社から受け取る初年度の手数料率を、あえて保険会社に頼んで引き下げてもらったということです。
受け取る手数料は高い方がいいのが当たり前。それをあえて下げてくれと頼んでということで保険会社はびっくりしたというのです。損して得を取れとでもいうのでしょうか。
手数料率引き下げの仕組みは・・・
気を付けなければならないのは、手数料率の引き下げを要請したのはあくまでも契約初年度に受け取る手数料だという点です。
通常だと、初年度に払込保険料の3~4%程度(1,000万円であれば、30~40万円もの金額)の手数料が保険会社から銀行に支払われ、2年めから5年めまでは0.1%などというのが一般的な手数料率となっているようです。
これを、初年度を2%に引下げ、その代わりに2年めから5年めまでを0.5%程度に引き上げてもらうというのです。
なんと合計すれば、変更後の方が受け取る手数料の総額は大きくなるというのですからなにやら胡散臭さを感じざるを得ません。
手数料体系変更の心は?
さて、ではなぜりそな銀行はこのような変更の要請をしたのでしょうか?
記事によれば2年め以降の手数料率を上げることでアフターフォローに対するインセンティブが増すことを意図しているということです。
確かに外貨建ての保険であるから為替変動により、保険の原資は常に変動することになります。顧客はそのリスクを負うわけですから、為替相場の状況などを顧客にフォローしていくことが重要であることは間違いありません。
しかし逆にいえば、手数料をもらわなければアフターフォローしないの?と問いかけたくもなります。
金にならない仕事はしないと宣言しているようなものだと考えるのはいささか意地悪な見方なのでしょうか。
新聞紙上ではいかにも美談じみた報道がなされていますが、その実、銀行は金の亡者であることを自ら認めているようにも思えてならないのであります。
苦情の実態を国民生活センターが公表
独立行政法人国民生活センターは2020年2月20日に「外貨建て生命保険の相談が増加しています!」という表題で外貨建て保険に関する苦情の動向を公表しています。
具体的な相談事例や苦情事例が掲載されており、かなり悪質な販売がなされていることがわかります。(もちろんすべてがそのような販売であるわけはありませんが)
ご興味のあるかたは是非ごらんください。
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