派遣社員は2020年5月危機!世界の雇用が喪失していく

労働



世界を震撼させている新型コロナウイルスの影響で、世界人口のうち10億人以上が雇用、所得のリスクにさらされています。

アメリカ政府が中小企業向けに用意した3,500億ドル(約38兆円)の融資枠は瞬間蒸発したとか。当然日本も例外ではありません。街の人通りの少なさを見ればその影響が広がっていることがよくわかります。



派遣社員に雇用危機が迫る


同一労働同一賃金という労働法制の改正により、2020年4月で多くの派遣社員が雇用危機にさらされました。
(関連記事:同一労働同一賃金で派遣切りが始まるかもしれない

今回のコロナショックはそれをも大きく上回る衝撃です。

リーマンショック時の派遣切りは製造業が中心でした。ところが今回のコロナショックは製造業にとどまらず、むしろ非製造業に対して与えるダメージの方が大きくなっています。

今、叫ばれているのは派遣社員の5月危機説です。

派遣社員は一般的に3か月更新です。2月末は更新する余力のあった企業も5月末は派遣切りをせざるを得なくなる企業が激増しそうです。

現在、派遣社員は日本に約140万人。そのうち、約10万人が2020年5月更新ということです。

今後もますます派遣切りが進んでいくことが予想されますし、その受け皿もごくわずかです。リーマンショック時は非製造業がその受け皿となりましたが、今回は影響があまりに大きくて、好調業種は限定的です。

危機は派遣会社にも及ぶ


危機に陥るのは派遣社員だけではありません。仕事がなくなっても休業手当を払わなければならない派遣会社も危機に陥ります。

会社をつぶすわけにはいなないため、やむなく派遣社員を解雇するとなれば、いよいよ派遣社員は路頭に迷うことになってしまいます。

派遣社員を守るための法改正もうまくいかず


派遣社員の待遇を改善するため、2015年に派遣法が改正されました。その内容は大まかにまとめると以下のとおりです。

・派遣社員が同じ職場で働ける上限は3年とする

・3年を超えた場合には無期雇用や派遣先による直接雇用とする

3年以上同一の職場で働いた人は立派な戦力なのですから、有期雇用ではなく、無期雇用としてくれというのが法改正の目的だったはずです。

ところが、実務の世界は法の目的どおりには動きませんでした。正社員化は進まず、3年を超えるギリギリで契約打ち切りというケースが横行しています。言い方は悪いですが使い捨てが当たり前になってしまっているのです。

派遣法はさらなる改正が必要であると確信します。

MMTによるJGPも有望ではないか


すっかり存在感が薄くなってしまったMMT(現代貨幣理論)。その中にJGP(ジョブ・ギャランティー・プログラム)という考え方があります。

景気が悪化して雇用が失われているような状況下においては政府が最低の賃金を保証し、際限なく公務員として雇用するという考え方です。

景気が良くなれば、より給料の高い民間企業へ移ってもらい、景気変動の波を抑え、最低限の生活を保証するという手法です。

現実的には難しいと思いましたが、コロナ禍がここまで広がると一律10万円では生活を持続できなくなる人が多数発生することは目に見えています。

もちろん批判しているわけではありません。やってくれた方がよいのは間違いありません。しかしそれだけでは不十分なのもまた事実です。

とにかく、このパンデミックをどのように乗り越えていくかは各国政権の腕の見せ所でもありますし、世界各国が協調しながら恐慌の被害を最低限に抑えなければなりません。

ブラジル大統領の勇気ある発言


この世はとかくきれいごと(建前)がまかり通ることが多いものです。そして、その責任の多くはマスコミにあります。

ところでブラジルの大統領がある種空気を読まない、しかし現実的で勇気のある発言をし、国民に問うたのです。

その内容を簡単にまとめると、

コロナウイルスには国民の7割が感染する。どうすることもできない。高齢者や健康に問題のある人はケアしなければならない。ただ、われわれは働かなければならない。

という内容です。

今のような無菌室戦略(勝手に名付けました)は医療崩壊を防ぐという意味では非常に有益ですが、こと経済活動に限っては、無益となります。

いつまでも継続できるはずがありません。ウイルスの犠牲よりも経済の破壊による犠牲(自殺、失業など)のほうが大きくなってしまうからです。

ここまでウイルスが蔓延すれば遅かれ早かれ感染するでしょう。(ワクチンによる疑似感染も含みます。)

ワクチンが早くできてくれるのを祈るばかりですが、あと1年やそこらはかかるでしょう。その間、高齢者と病気の人を徹底的に守り、その他健康な人は通常どおりの生活に戻っていくしかないというのが個人的見解です。

ワクチンができたら、まっさきに高齢者や病気の人に投与する。その他の人は無症状感染を含め、感染が相当程度進んでいると思いますので、後回しにして投与していく。これしか私の頭の中では解決策を見い出せないのであります。

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