NISA口座満了後の取扱いを考える

早いもので、NISAが導入されてもうすぐ5年です。当初2014年に購入した株式等の非課税期間が今年(2018年)末で満了となります。そこで、満了後の取扱いがどうなるかについてまとめておきたいと思います。
| NISA満了後の取扱い
満了後の取扱いは以下の2つになります。
1.翌年の非課税枠へそのままロールオーバーする。
2.特定口座または一般口座に移る。
| 考慮すべき点
それぞれのポイントについて考えてみましょう。
そのままロールオーバーする場合、株式等の時価が非課税枠(120万円)を超えていても全額ロールオーバーできます。今後もそれらの株式等の価値が上昇するという前提に立てばこれは大きなメリットです。
当初100万円で投資した株が300万円になっていたとしても、引き続きロールオーバーできるということは実質、非課税枠を300万円使用できることとなるからです。もし、300万円からさらに600万円に値上がりし売却すれば、約100万円節税できることになります。
なお、ロールオーバーをするには所定の手続きが必要であり、放っておくと、特定口座か一般口座に移されることになります。
一方、特定口座または一般口座に移る場合、その口座での取得価額は移す時点での時価となります。NISA口座での取得価額ではない点に注意が必要です。
例えば、100万円で投資した株が50万円に値下がりしていて特定口座に移った場合、新たな取得価額は50万円になります。50万円から100万円に再び値上がりして売却した場合、実質何も儲かっていないのに約10万円課税されることになります。
| 個人的な考え
以上の観点から私が考える戦略は以下のとおりです。
イ.今値上がりしていて、さらに値上がりすると思う場合
⇒ ロールオーバー
ロ.今値上がりしているが、もう上がらないと思う場合
⇒ NISA口座で売却または特定(一般)口座へ移す
ハ.今値下がりしているが、今後は値上がりすると思う場合
⇒ ロールオーバー
二.今値下がりしており、今後も期待できないと思う場合
⇒ 特定(一般)口座へ移し、非課税枠は新たな銘柄で使用する。
| NISAに対する要望
ところで、NISAには不満な点が2点あります。
一つは制度が恒久化されていないことです。財政健全化という錦の御旗を持つ財務省の抵抗があるのでしょうが、ある世代にだけメリットを与えるのは世代間の公平に欠けますし、なにより制度がややこしくなります。制度を恒久化してシンプルにしてもらいたいものです。
もう一つは売却すると再度その非課税枠を使うことが出来ない点です。非課税枠を小さくしてもいいので、何回でも使用できるようにしたほうが良いと思います。
例えば、一人300万円の非課税枠を皆が持ち、死ぬまで使える。300万円は取得価額ベースで何度でも売買できる。そんな制度のほうがわかりやすいし、機動的な運用も可能になります。
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