アメリカ、2020年4月の失業率は一気に10%超へ

まったく驚きの数字であります。アメリカ労働省が明らかにしたところでは新型コロナウイルスの影響により、2020年3月中旬からのたった5週間で失業保険の新規申請が2,600万件を突破したというのです。
急激に増大する失業者
アメリカの労働人口は約1億6,300万人。そのうちの2,600万人が失業したのです。約6.3人に1人が職を失ったのです。
以下は1980年以降の主要国の失業率推移を表しています。

(出所:社会実情データ図録)
アメリカの失業率は3月こそ4%台を維持しましたが、4月は一気に10%を超える可能性が高くなりました。瞬間風速での10%超えに収まらなければ、年平均でもリーマンショック時を上回る失業率になることもありえます。
やっかいなのは相手がウイルスという目に見えない脅威であり、その収束の時期も目途が立たないことです。
財政支出による失業対策
当然、アメリカ政府は危機感を募らせており、中小企業の給与支払を肩代わりする財政支出の増額を検討しています。
増額後の額は6,600億ドルとなります。日本円で換算すれば約70兆円です。それでも労働者一人あたりでは約50万円弱。長期的に肩代わりすることは不可能です。
米財務長官は計6,000万人の雇用維持効果があると主張しておりますが、期間が長引けばそうはいかないでしょう。
トランプ大統領はさらに追加の経済対策を議論することを表明し、雇用の維持に必死です。今年は大統領選挙の年なのですから無理もありません。
なぜそんなにすぐ失業者が増大するか?
世界の中でもアメリカが今、とりわけ厳しい状況に陥っているのはわかります。それにしても不思議なのは、わずか5週間でそんなに一気に失業者が増えるのかという謎です。
ここにはアメリカの株主利益優先の企業経営が隠されているのではないかと考えます。
利益が出て、余剰資金が増えればすぐに自社株買いをして発行済株式数を減らし、株価を上げようとする体質です。
確かに株価は上がるかもしれませんが、財務基盤は脆弱になります。突発事象が発生した際に持ちこたえられる資金力は弱まり、雇用を守ることができません。
日本の状況はどうか?
2020年3月の失業率が4月28日に発表される予定です。2月は2.4%でしたが、3月は2.5%を超えてくることが予想されます。4月はさらに悪化するでしょう。
日本はアメリカほど自社株買いも盛んではないため、企業の自己資本比率も高く、相対的に財務基盤は強固です。しかし、この騒動は長引きそうな気配であり、いずれ日本もアメリカと同じ道を歩む可能性は十分あります。
日本はリーマンショック時の失業率が5%程度でした。今回もそのくらいの数字は覚悟せねばならないと思います。
職を失う恐怖。これにより消費はますます委縮してデフレスパイラルが急加速することになりそうです。消費増税は結果的に明らかな失政でした。
デフレスパイラルの泥沼にはまらないためにも失政は正すべき。消費税はいったん全商品0%の軽減税率適用にすべきだと思います。
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