楽天証券が買収攻勢にあっていたとは!

押し合い



楽天がここまで成長したのはM&Aの手法を駆使したことに尽きます。

あらゆる会社を買ってきて、楽天ブランドにすげ替えて楽天経済圏に取り込んでいく。顧客にとっては、楽天グループのサービスを使えば使うほど、付与される楽天スーパーポイントの倍率が上がったりするので、できるだけ楽天ブランドのサービスを使うというインセンティブが働くわけです。

楽天がオリジナルで開発したサービスは楽天市場のみだというのが実態です。お金で時間を買う、これがM&Aのだいご味ですが、まさに楽天はそれを実践してきました。



楽天証券が買収攻勢にあっていたとは・・・


2020年4月29日付の日本経済新聞に驚くべき記事を見つけたのです。

三井住友フィナンシャルグループが2019年秋から楽天証券の買収を検討していたというのです。

三井住友FGの子会社で大手証券の一角であるSMBC証券はデジタル分野で出遅れており、楽天証券の買収により一気にその遅れを取り戻すというのがその目的でした。

野村証券がLINEと組んでデジタル化を進め、大和証券は独自開発で先行している中で取り残されるという危惧があったものと思われます。

具体的な買収条件


楽天が想定した売却金額は3千億円から4千億円とのこと。

同業他社の松井証券(8628)の時価総額が約2千億円、マネックスグループ(8698)は約550億円です。2019年3月期における松井証券の純利益は約95億円、マネックスグループが約11億円。

対して楽天証券は12月決算なので単純に比較はできませんが、2018年12月期で約133億円の純利益を計上しています。売却想定価格はまあまあ適切な水準といえるのではないでしょうか。

それよりも重大なポイントは、買収の条件として買収後に楽天経済圏からの切り離しが条件となっていたことです。

楽天証券はネット証券業界で2位という優位な立場にいます。ここまで育てて、楽天グループから「完全にさよさら」は楽天にとって、とても飲める条件ではありませんでした。

そして交渉は打ち切りとなったのです。

個人的見解


それにしても交渉が決裂して良かったというのが、一楽天株主としての率直な感想です。

ネット証券業界の置かれている環境がいくら厳しくなってきているとはいえ楽天証券は明らかに勝ち組です。売却する必要などあろうはずもありません。

楽天市場がアマゾンに押されている中、楽天にとって金融事業は収益の拠り所でもあります。楽天カードの成長ぶりをみれば一目瞭然です。

銀行、証券、生保、損保、クレジットと金融ビジネスを広げてきたのに証券が抜かれたら、金融コングロマリットになりつつある現状から一本重要な柱が抜かれてしまいます。今までの努力はいったい何だったのかと思ってしまいます。

ミイラ取りがミイラになってしまってはいけません。

ところで、楽天が楽天証券の売却の検討をしたのは楽天モバイルの設備投資資金の確保にあったのではと推測します。

携帯電話事業には莫大な設備投資資金が必要です。楽天モバイルは新技術で予算をかなり抑えることができるようですが、限界はあります。

そして、アンテナの全国配置は急務です。それまでは都市圏の人を除いて楽天モバイルに乗り換えようという動機が働く人はなかなかいないのではないでしょうか。

しかし、それにしても楽天証券をその犠牲にすれば、その代償は大きすぎると思わざるを得ません。とりあえずホッとしました。

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