インドのガス漏れ報道に見るメディアの「貧すれば鈍す」

2020年5月7日、インドで韓国のLG化学の子会社、LGポリマーズ・インディアがガス漏れ事故を起こし、10数人が死亡、数百人が入院しました。
ところで、日本の一部報道機関がこの事故に関し、報道しない自由?を謳歌しているというのです。
メディア間で異なる対応
まったく報道しないメディア、会社名を伏せて報道するメディアなどがあり、各社によって対応はまちまち。
取るに足らないニュースと判断したのか、それとも裏に何かあるのか・・・。各社の動向を調べてみました。調査対象はあくまでもインターネット限定です。
また、すべてのメディアを調べることは不可能ですので、対象は以下に絞っています。なお目視ですので見落としの可能性はゼロではありません。
(朝日新聞・読売新聞・日本経済新聞・毎日新聞・東京新聞・産経新聞・NHK・共同通信・時事通信)
報道実態調査
・朝日新聞 報道あり・社名あり
・読売新聞 報道確認できず
・日本経済新聞 報道確認できず
・毎日新聞 報道確認できず
・東京新聞 報道確認できず
・産経新聞 報道あり・社名あり(LG系現地法人との記載)
・NHK 報道あり・社名あり(LG化学が所有する工場との記載)
・共同通信 報道確認できず
・時事通信 報道あり・社名あり
・読売新聞 報道確認できず
・日本経済新聞 報道確認できず
・毎日新聞 報道確認できず
・東京新聞 報道確認できず
・産経新聞 報道あり・社名あり(LG系現地法人との記載)
・NHK 報道あり・社名あり(LG化学が所有する工場との記載)
・共同通信 報道確認できず
・時事通信 報道あり・社名あり
各社バラバラの対応です。それはそれで別に問題ないと思います。全部一緒だったらむしろ気持ち悪い。
とはいえ、なぜ?という疑問は残ります。報道しないメディアにとって、この事故は取るに足らない事故であったのか?
日本経済新聞のサイトでは10年前の台湾企業(鴻海(ホンハイ)精密工業)のガス漏れ事故の報道が確認できました。同じくインドの工場です。事故の規模は今回よりも明らかに小さく、約250人が病院に搬送されたといった内容です。
報道されない理由(憶測)
1.情報収集能力の低下
新聞社は苦境に立たされています。発行部数は右肩さがり、それは以下のグラフを見れば明らかです。

(出所:社会実情データ図録)
情報収集能力は明らかに下がっていると推測されます。しかし、いくらなんでもこれだけの事故。情報が入ってこないとは考えられません。
新聞社は苦境に立たされています。発行部数は右肩さがり、それは以下のグラフを見れば明らかです。

(出所:社会実情データ図録)
情報収集能力は明らかに下がっていると推測されます。しかし、いくらなんでもこれだけの事故。情報が入ってこないとは考えられません。
2.他に大きなニュースがあり報道されない
現状、新型コロナ騒動一色に社会が染まっており、他の事件事故は無視される可能性が高い。メディアの人的リソースが減少しており、そこまで手が回らなかったということも考えられます。
現状、新型コロナ騒動一色に社会が染まっており、他の事件事故は無視される可能性が高い。メディアの人的リソースが減少しており、そこまで手が回らなかったということも考えられます。
3.スポンサーへの忖度、遠慮
LGグループは売上高で16兆円、社員数23万人を抱える巨大企業集団です。(2018年現在)
日本でもテレビやスマホ、冷蔵庫などの白物家電などを事業展開しています。当然、日本でも広告費を落としているはずです。そして、広告を出してくれる企業はメディアにとって、大事なお客様。大事なお客様を傷つける報道をしてはならないという忖度が働く可能性は十分にあります。
また、今は広告を出してもらってないとしても、今後の有望見込客としてあらかじめ報道を遠慮しておき、恩を売っておくという可能性も否定できません。
LGグループは売上高で16兆円、社員数23万人を抱える巨大企業集団です。(2018年現在)
日本でもテレビやスマホ、冷蔵庫などの白物家電などを事業展開しています。当然、日本でも広告費を落としているはずです。そして、広告を出してくれる企業はメディアにとって、大事なお客様。大事なお客様を傷つける報道をしてはならないという忖度が働く可能性は十分にあります。
また、今は広告を出してもらってないとしても、今後の有望見込客としてあらかじめ報道を遠慮しておき、恩を売っておくという可能性も否定できません。
4.スポンサーからの圧力
露骨にメディアに圧力をかけてくるケースも想定されます。
現に以前、トヨタ自動車の元社長が厚生労働行政の在り方に関する懇談会で、年金問題などで厚労省の対応を批判するメディアに対し「朝から晩まで厚労省を批判している。あれだけ厚労省がたたかれるのはちょっと異常。何か報復でもしてやろうか。例えばスポンサーにならないとかね。」などと発言したことは有名な話です。
スポンサーから圧力がかかれば委縮してしまうのは当然のこと。報道しない自由を駆使することは十分に考えられます。
露骨にメディアに圧力をかけてくるケースも想定されます。
現に以前、トヨタ自動車の元社長が厚生労働行政の在り方に関する懇談会で、年金問題などで厚労省の対応を批判するメディアに対し「朝から晩まで厚労省を批判している。あれだけ厚労省がたたかれるのはちょっと異常。何か報復でもしてやろうか。例えばスポンサーにならないとかね。」などと発言したことは有名な話です。
スポンサーから圧力がかかれば委縮してしまうのは当然のこと。報道しない自由を駆使することは十分に考えられます。
5.報道するほどのことではないという判断
これは各メディアの判断ですから問題ないでしょう。しかし、今回の事故が報道しないほと取るに足らない事故だとは思えません。
これは各メディアの判断ですから問題ないでしょう。しかし、今回の事故が報道しないほと取るに足らない事故だとは思えません。
個人的見解
スポンサーからの広告費に大きく頼るメディアに、報道の中立性を保てるのか?という疑念はつきません。
ましてや新聞やテレビは落ち目のメディアです。もはやインターネットに広告の主体は移りました。この流れは止められないと思います。

(出所:社会実情データ図録)
広告費を保ちたい既存メディア。報道の質を落としてもスポンサーへの配慮は欠かせません。まさに「貧すれば鈍す」。
本来ならば、「スポンサーになってくれなきゃ別に構いません。他にも会社はたくさんありますから。」と報道の自由が優先されるべきなのですがそうはいかないところまで追いつめられつつあります。
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