証券業界、コロナ禍で対面とネットの明暗分かれる

チェス



対面型の証券会社の営業態勢が岐路に立たされています。なにしろ対面証券の顧客は高齢者が多いのが実状。

そして、今回の新型コロナはとりわけ高齢者にとって脅威となっているため、営業に支障をきたしているためです。



新型コロナによる営業力低下


大手証券は4月20日から全国で窓口業務を休止しています。お客さんが窓口に来られないのですから、社員も店舗にいる必要もなく、「テレワーク」。

しかし、複雑な投資信託を電話で説明するには限界もあり、販売が落ち込んでいます。そのため、営業の中心はシンプルな株式、ETF、Jリートの取引が中心となっています。

コロナショックではどのカテゴリーの資産も多かれ少なかれ被害を受けたため、資産分散効果があまり働かず、近年注力していたバランス型投資信託に見切りをつけた投資家も多い様子。

また、損失がかさんでくると対面証券に増えてくるのが「苦情」です。

自宅のテレワークで苦情対応・・・。モチベーションが下がるのは必至。また店舗にいれば周囲の社員が成果を出せば取り残されてしまうので、負けないように頑張らざるを得ませんが、自宅だとそういったプレッシャーも受けにくい。

対面証券には複合的に逆風が吹いており、営業成績は振るいません。

2020年4月の個人部門の収益は1月~3月期に比べ2割程度落ち込んでいるようです。

ネット証券は元気を取り戻す


対照的なのはネット証券の状況です。

株価の大幅下落により、今まで手をこまねいていた投資家層が一気にネット証券に流れ込んできました。ネット証券業界の口座開設は激増し、コロナ騒動前の約2倍に膨らんでいます。

とりわけ好調なのがSBI証券と楽天証券。

楽天証券は2020年3月だけで16万口座を獲得し、月間口座開設で業界過去最高を記録しました。なんやかんやいって、楽天経済圏のパワーはすごい。

SBIホールディングスは他の金融機関との提携を軸とした戦略を進めており、楽天ブランドを最大限に引き出そうとしている楽天グループとは戦略が大きく異なります。

SBIは金融という業態の中で最大限のシナジーを発揮させようとしていますが、楽天は金融を含め、あらゆる生活面でのシナジーを目指していることも大きな違いです。楽天モバイルがその典型でしょう。

感想


それにしてもコロナ騒動で証券業界の今後の有り様も大きく変わりそうです。対面証券の個人向けサービスはネット世代の高齢化に伴って縮小均衡を図らざるを得ないというのが個人的見方です。

となれば大量の社員を抱える対面証券はどこに向かうのか?手探りの時代に突入しています。

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