国際社会という野生の王国を生き抜くためのリアリズム外交

地球



新型コロナウイルス騒動は、国際社会のメッキを剥がし、薄汚い側面がにわかにあらわとなりました。

世界は本音と建前で動きますが、建前を言っている余裕はなくなり、本音むき出しの外交や政治が行われつつあります。

なにも今に始まったことではありません。もともとそうだったのです。昔のほうがより本音むき出しであったことは想像に難くありません。

そんな野生の王国である国際社会において求められる外交は、現実に則して戦略を立て、対応を行っていく「リアリズム外交」です。

しかし、戦後の日本はとにかくアメリカ追随で、外交戦略など無きに等しいものでした。

さて、今後の日本に求められるリアリズム外交とはどのようなものなのでしょうか。国際政治アナリストの伊藤貫さんの著書を参考に示していくことにします。



1.バランス・オブ・パワーに基づく外交


世界には多数の国際機関があります。代表的なものは国際連合でしょう(正確に訳せば「連合国」。第二次世界大戦の勝者が支配する組織)。

日本はとかくこのような国際機関を重視する傾向があるようです。権威があり、日本人は権威に騙されやすいという性質があります。

しかし、これら国際機関はほとんどがいかがわしく、金で動くか、機能していないか、その両方かといった具合です。

国同士の紛争を解決する国際司法裁判所なるものは一応存在しますが、その判決に法的な強制力もなく、裁判などという言葉を使うのはいかがなものかとも思えるような有様です。

この度の新型コロナ騒動におけるWHOの態度を見ても明らかです。中国に忖度して、まともに機能していないことが明るみになりました。

ルールなき世界、これが国際社会の実態です。

その中で、国家が生き残るためには常に周辺国と軍事的、経済的バランスを均衡させておかなければなりません。明らかに勝てると思わせたら、侵略される可能性が高いからです。

近隣諸国との勢力均衡を図るバランス・オブ・パワー。これこそが生き馬の目を抜くジャングル世界で生き残る重要な知恵です。

2. 自国の価値感を他国に押し付けない


世界は広い。さまざまな宗教や民族が存在し、その行動原理や価値観は多様性に満ちたものです。

自国が正しいと思っている価値感でも他国からすればぜんぜん違うということは往々にしてあります。

それを無視して自国の価値観を押し付けたら、余計な軋轢、紛争が起こるだけです。

第二次大戦後のアメリカは独善的に他国に民主主義を押し付け続けましたが、未だ成功せず、今やあきらめたといって過言ではありません。しょせん無理なのです。無理を押し通そうとすれば多大な犠牲を払うことになります。

3. 他国に頼らない自立した国家運営


1.と密接に関連しますが、国際社会というジャングルにあっては、頼れるものは常に自国のみです。

時に他国と同盟を組んだりすることもありますが、その同盟関係は永続するものではありません。いざとなれば裏切るのが国家というものです。第二次大戦時の日ソ不可侵条約などが典型でしょう。

他国の良識などに期待するのがそもそもの間違いです。今はアメリカと日本双方にとって利害が一致するために日米同盟が組まれていますが、この同盟もいつ破断するかわかりません。

戦前、日英同盟が結ばれた時代もありましたが、太平洋戦争でイギリスはあっという間に敵国となりました。日英同盟失効後、20年もたたないうちにです。

結局のところ、他国はあてにならないのです。自国のことは自国で守るしかありません。

戦後日本はアメリカのGHQに骨抜きにされるとともに、冷戦という環境にあったため、見事なまでに平和ボケとなりました。しかしながら、近時の世界情勢を考えれば、いつまでもボケているわけにはいかないのは火を見るよりも明らかです。

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