2020年の名目GDPはいったいいくらになるのか

新聞などを見ていても、GDPは%で語られることが多いと感じます。四半期ごとのGDP発表はその前の四半期と比較しての数値なので、趨勢を見るには適していますが、年間を通した金額を知りたい場合にはあまり役に立ちません。
多くの報道への違和感
例えば、2019年10~12月期。前四半期に比べ、約1.8%減なのですが、これを単純に4倍して年率7.1%減などと報道されると違和感を感じざるを得ません。
なぜなら、続く3四半期が同じように1.8%ずつ減少していくとはとても思えないからです。減少すれば、逆に反発する力が出てくるというのが通常の感覚だろうと思います。
もちろん今の日本、世界にその力はありませんが・・・。
いったい2020年通年で名目GDPはいったいどの程度になるのでしょうか。あまり報道されないので、勝手に推計してみることにしました。
ちなみに2019年の名目GDPは約553兆円です。
2020年1~3月期
これは既に速報ベースで発表されています。前期に比べ、0.8%減。消費増税後の落ち込みからさらに落ち込むという経済不振です。
さて、金額を知るには前期の金額がどうなっているのか・・・?これがなかなかわからない。季節調整やらさまざまな計算をしているようであり、なかなかはっきりしません。
しかし、2019年10~12月期、年換算すると549兆円だという資料を発見したので、これを単純に4で割れば137兆円ほどとなります。
137兆円からさらに0.8%減っているわけですから136兆円ほどになるはずです。
2020年4~6月期
当期は本当に厳しくなることは間違いありません。ゴールドマンサックスなどは25%減などと相当厳しい予想をしています。
この予想は4~6月期がフルに緊急事態であることを前提としていると推測します。6月からある程度の回復が見込まれますから、話3分の2程度として、15%減と予想します。
136兆円×85%で115兆円程度と見ます。
2020年7~9月期
2019年10月の消費増税前の駆け込み需要で2019年7~9月期のGDPは好調でした。2019年通年で553兆円ですから4で割れば約138兆円。これよりも2%程度好調だったようですので141兆円ほどではなかったかと思います。
今年は駆け込み需要はありません。夏のボーナスもマイナスになるはずですから、強気に見ても135兆円とみます。
2020年10~12月期
ここは予想が最高に難しい。なにしろコロナの第二波がくるかどうかによって全く景色が違ってくるからです。
(楽観シナリオ)
コロナの影響がないと仮定すれば、昨年と同程度を維持できると見ます。なにしろ、2019年は消費増税直後の落ち込みがあったわけですから。
昨年なみと考えれば、137兆円となります。
(悲観シナリオ)
コロナ第二波に襲われることになれば、4~6月期の再来となります。再び緊急事態宣言が出され、世界的に再流行が始まれば最悪です。予測は大変難しいですが、115兆円程度とみておきましょう。
2020年通期名目GDP予想
上記を足しこんでいくと、楽観シナリオでは523兆円。名目GDPは5.4%減のマイナス成長となります。
悲観シナリオでは501兆円。名目GDPは9.4%減のマイナス成長となります。
大まかな推測ですが、2020年の名目GDPは500兆円から520兆円の間となり、5%から10%程度のマイナス成長になるのではないかというのが個人的な予想です。
2020年は5%~10%程度昨年よりも貧乏になることを覚悟せねばなりません。以下は1956年からの実質経済成長率を表しています。

(出所:社会実情データ図録)
2020年は通常ならばデフレが進み実質経済成長率は名目よりも若干マシになるはずですが、絶好に最悪なタイミングで消費増税をしたため、名目成長率は実質成長率と同程度になるはずです。
このままではほぼ確実に戦後最悪のマイナス成長になると思います。
消費減税などにより、税負担を低減させることで国民の貧困化を防ぐことができますから政府にはぜひとも検討していただきたい。それとともに超大規模な財政支出は必須です。
安倍政権はさまざま失策を取り戻す責任があるはずです。
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