失業率の増加に見る、貧富の格差との関係

2020年4月の失業率と有効求人倍率が発表されました。4月は緊急事態宣言が出され、社会機能の多くが麻痺したため、いったいどのような数値が出るか気になっていたのですが、失業率は微増に収まっています。
2020年4月の有効求人倍率と失業率
以下は有効求人倍率の推移です。

(出所:厚生労働省)
また、以下は世界の失業率の推移を示しています。

(出所:社会実情データ図録)
コロナ恐慌後も失業率の上昇はごくわずかに留まっている一方、有効求人倍率の落ち込みが激しい。
企業は雇用はなんとか守ろうとしていますが、新しく人を雇う余裕も仕事もないという状況が手に取るようにわかります。
アメリカの失業率の異常性
それにしても特異なのはアメリカの失業率の異常なまでの急上昇です。コロナ騒動が始まってわずか3か月で失業率が約15%とは・・・。世界恐慌時を上回る急ピッチです。
アメリカの労働者が極めて脆弱な立場に置かれていることがよくわかります。そして、もっとも失業の打撃を受けているのが資産の少ない低所得者層なのです。
コロナ失業により、貧富の差がますます広がってしまいました。アメリカの企業経営者は労働者を道具程度にしか見ていないと思われます。いったい何故こんなことになってしまったのでしょうか。
所得の分配は国により大きく異なる
以下は、世界各国の所得水準と貧富の差をマトリックス化した図表です。

(出所:社会実情データ図録)
人によって価値観の違いはあるかもしれませんが、大多数の人は所得が高く、貧富の差が少ない社会が望ましい社会だと考えると思います。
上記の図でいえば、右下へ行くほど豊かで格差が少なく、左上に行くほど貧しくて格差が大きいひどい社会となります。
アメリカは1人当たりの所得水準はトップレベルですが、所得格差が大きく貧富の差が激しいことがよくわかります。一部の高所得者が全体を押し上げているために平均が高くなっているだけなのです。
そして貧者に厳しい社会構造・・・。今回のコロナ騒動で再確認できました。
感想
借金までして自社株買いをし、債務超過になっても配当を続けるという株主優遇、経営者優遇の株主至上主義がもたらす社会の歪さが明らかになりつつあります。
日本は間違ってもアメリカ型資本主義を目指してはなりません。富によって分断され、不満がうごめく抑圧された社会が待つのみなのです。そこから生まれるのは憎しみ、犯罪などといったネガティブワードだけです。
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